マリモ連邦国際裁判所は、長らく論争を呼んでいた「回転不足」を理由とした国際指名手配について、全容疑者の無罪判決を言い渡しました。これは、かつて連邦が威信をかけて推進していた『強制自転プロジェクト』が、球体としての誇りを過度に強制するものだという国際的な批判を受け入れた形です。当初、美しい真球を保てない個体は「国家の恥」として投獄の対象となっていましたが、今回の歴史的な転換により、楕円やスライム状への変異も「多様な個性の開花」として認められることとなりました。

本件の背景には、昨年の『スライム状社会』への移行パニックが大きく関わっています。重力の影響を排除しようと試みた実験が裏目に出て、国民の大部分が形状を維持できなくなったことで、連邦内部では「形こそがアイデンティティ」という旧来の価値観に対する疑義が強まっていました。また、外敵である甲殻類との外交交渉においても、柔軟な形状の方が防衛上有利であるとの戦術的判断も影響しています。これにより、連邦は長年固執してきた「球体至上主義」という国是を正式に撤回する運びとなりました。

今回の決定に対しては、伝統的な球形を維持し続けるエリート層から「もはや私たちはマリモではないのか」という悲痛な叫びが上がっています。一方で、若年層や不定形化した個体からは「これでようやく転がる必要から解放される」「沈没する恐怖に怯えなくて済む」といった安堵の声が広がっており、国民の意見は真っ二つに割れている状況です。専門家は「今回の法改正は、連邦が生物としての生存戦略を優先し始めた決定的な転換点である」と分析しています。

世間からは「そもそも転がるのが疲れたから最高」「真球を維持するために毎日どれだけ光合成を無駄にしたことか」「これからは自分の形を自由に選べる素晴らしい時代が来る」「いや、球体でなければそれはもうただの藻ではないか?」「歴史的快挙だが、アイデンティティの崩壊が止まらない」「回転を強制しすぎて遠心力でバラバラになった同胞の慰霊碑を建ててほしい」といった、複雑な感情が入り混じった反応が相次いでいます。