マリモ連邦政府は本日、長年の悲願であった「真球至上主義」からの完全脱却を決定し、国内全土で『重力矯正法』を施行すると発表した。これは、昨今の「不定形同盟」加盟に伴う外交方針転換の一環で、もはや転がる必要のなくなった国民に対し、底面に「固定用アンカー」を装着することを義務付けるものだ。政府は「我々はこれまでただ転がり続けるだけの奴隷だったが、これからは定住という尊厳を手に入れる」と主張し、さっそく湖底の岩盤に直接セメントを流し込む作業が各地で開始された。しかし、長年培われた回転習性が抜けない個体からは、装着直後に制御不能なスピンが発生し、湖底が耕されるなどの混乱が続いている。
背景には、かつて導入された「回転速度規制」がもたらした弊害がある。あまりに低速回転を強いられた結果、国民の間に慢性のめまい症が蔓延し、国としての生産性が著しく低下した。さらに、かつてウチダザリガニ軍との紛争で「浮力過多による離反」が相次いだ経緯から、政府は「物理的に物理から切り離す」という極端な解決策を導き出した。今後は、一度設置されたら二度と動かない「定住型国家」として、国際社会に独自の重厚感をアピールしていく方針だ。一部の急進派からは「回転こそがマリモの魂」という抗議の声も上がっているが、現行法では「転がる者は反逆者」と見なされる厳しい措置となっている。
突然の強制固定化を受け、SNSや集会場では市民から悲鳴に近い反応が溢れている。「朝起きたら足元が石材と一体化していた」といった報告が相次ぐ一方、古参の長老個体からは「これでようやくめまいから解放される」と安堵する声も聞かれる。また、定住化によって空いた「転がり空間」には、マツモが大量流入する兆候が見られ、新たな領土紛争の火種となるのではないかという懸念も浮上している。国民の大部分は、今までの「流動的で自由な暮らし」と、今回の「重厚で安定した暮らし」のどちらが真の幸福なのか、揺れ動く中心核を抱えながら戸惑いを隠せずにいる状況だ。
この政策を冷ややかに見ているのが、かつて「触角の検閲」を要求してきたウチダザリガニ軍だ。ザリガニ軍側は「固定された標的ならハサミを置く場所も選びやすい」と皮肉交じりの声明を発表しており、マリモ連邦にとっては定住による安息が、かえって軍事的な脆さを露呈させる皮肉な結果となる可能性も指摘されている。緑の球体たちが自らの意志で動きを止めたこの歴史的瞬間、マリモ連邦の命運は湖底のアンカーがどれだけ強力に地盤を掴めるかにかかっている。
マリモ連邦が「重力矯正」を強行、転がらないためのアンカー義務化で国民大混乱
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真球時代の終わりを告げるには十分すぎる決断だな