マリモ連邦外務省は、史上初となるマリモによる有人(球)宇宙探査計画を発表した。今回目指すのは地球の衛星である「月」であり、連邦政府は月面のクレーターを「究極の遮光環境かつ水資源が期待できる理想郷」と定義づけた。同計画の総指揮官である主席マリモ氏は、会見にて「湖底の過酷な回転生活から脱却し、無重力空間で完全な静止を体現する」と高らかに宣言。この『月面永住プロジェクト』は、長年マリモ界を悩ませてきた「光合成のしすぎによる過剰な浮力問題」を、地球の重力圏を離脱することで根本的に解決する狙いがあるという。
本計画の背景には、近年の湖水温上昇と、それによる「不本意な浮上」の頻発がある。マリモたちは長年、定住性を守るために底生生活を維持してきたが、温暖化で湖底の酸素濃度が低下し、意図しない浮力が生じる事態が多発していた。これに対し連邦議会は「重力に縛られる時代は終わった」と断言。月への移住は単なる宇宙探査ではなく、真球としてのプライドを保ちながら永遠に沈黙を守るための政治的亡命に近いといえる。なお、輸送には巨大な氷の塊をカプセル代わりにする「氷雪シャトル計画」が採用され、湖底から成層圏までを気泡の力で一気に押し上げる前代未聞の打ち上げ方式が検討されている。
この驚天動地の発表に対し、国際社会は困惑を隠せない。特に隣接するウチダザリガニ軍は「我々の天敵が月へ行くなら、次に狙われるのは月の裏側か?」と警戒を強めており、星空を見上げる際の防空レーダーの感度を最大に引き上げている。一方で、マリモ連邦国内では「ようやく全方位から光が当たらない環境に行ける」と歓喜する市民が多く、宇宙船用の「結びつきを強める粘着液」の準備が急ピッチで進められている。月面での最初の活動として、マリモたちは全土のクレーターを使い、史上最大の『緑のリング』を形成するパフォーマンスを予定しているという。
専門家によれば、無重力空間でのマリモは自らの形状を維持できず、不定形なゲル状へと拡散するリスクがあるという。しかし連邦側は「球体という概念から解放されることこそが、真の進化である」と主張。かつて『真球至上主義』を掲げていた国家が、宇宙という無の空間でどのように変貌を遂げるのか。地球の湖を捨てた球体たちの物語は、今まさに重力を超えて発射されようとしている。
マリモ連邦が「藻類初の宇宙進出」を宣言――月の影を『極上の安息地』と定義
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