阿寒湖の深層で発生した、マリモの量子光合成による『並行世界のコーヒー』蒸留現象。これは当初、科学界において「夢の抽出」として喝采を浴びたが、今や湖底の風紀を乱す火種となりつつある。マリモたちが光合成の余剰エネルギーを物理的変換に回した結果、別次元の希少豆から淹れたコーヒーが突如として湖水に溶け出し、魚たちがカフェイン過多で不眠不休の社交ダンスを踊り始めるという事態に発展したのだ。一部の熱狂的な愛好家からは「宇宙の深淵を味わえる至高の一杯」と絶賛される一方で、睡眠不足に陥った湖底住民からは「静寂を返せ」との悲痛な叫びが上がっている。
そもそも、この現象はマリモが光合成の際に行う量子演算の副産物である。本来、光合成は酸素を生むプロセスだが、計算ミス(あるいは意図的な遊び心)により、亜空間にある喫茶店と湖底を連結する「量子トンネル」が形成されたことが原因とされる。専門家によれば、これはマリモが持ち始めた高度な知性による『食文化の革命』であり、単なるエラーとは言い難い。すでに湖底では、このコーヒーを巡って「誰の光合成が最も香ばしい豆を錬成できるか」という、前代未聞のバリスタ・トーナメントまで開催される始末だ。
かつて阿寒湖では「量子カラオケBOX」の流行により、歌声が湖全域に響き渡るという騒音問題が取り沙汰された。今回のコーヒー騒動は、その音楽的刺激に続き、カフェインという「覚醒剤」を湖全体にばら撒く形となり、いよいよ湖底の生活様式が根本から崩壊の危機に瀕している。マツモ族による光合成盗用事件や、古代ギリシャ語を学習するアカデミーの開校など、阿寒湖の科学進化はとどまるところを知らないが、そろそろ「マリモの趣味嗜好」に人類が振り回される現状を再考すべき時期に来ているのではないだろうか。
この状況に対して、湖底の有識者会議では「コーヒー豆の産地はどこか」という論争が起きているが、肝心のマリモたちは「次の演算ではエスプレッソにするか、抹茶ラテにするか」で頭がいっぱいな様子だ。このままでは、阿寒湖が世界最大の緑色のコーヒーショップと化すのも時間の問題だろう。私たちは、マリモが淹れる一杯のコーヒーに溺れるのか、それとも断固としてカフェインを拒否し、かつての静寂を勝ち取るのか、その選択を迫られている。……それにしても、並行世界の豆で淹れたアイスラテは、驚くほど深みがある味だった。コラムニスト:緑川藻屑
量子光合成の恩恵か災厄か?『並行世界のコーヒー』がもたらした湖底のカフェ文化論争
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マリモ共めいい加減にしろ