マリモ連邦と隣接する泥炭地帯にて、ウチダザリガニ軍による「強制トリミング」という名の領土侵犯が発生した。かねてより境界線付近で「形状美」をめぐる対立を繰り返していた両者だが、今回の事態は軍事的な緊張へと発展している。ザリガニ軍の司令官は「マリモの表面が不必要に毛羽立っており、湖底の景観を損ねている」との声明を発表し、巨大ハサミを用いて連邦市民の繊維を強引に短く刈り上げるという、前代未聞の美意識的虐待に及んだ。この暴挙に対し、マリモ連邦は「これは我が国の個性を抹殺するテロ行為である」と猛反発。国連(国際湖沼連合)は緊急会合を招集したが、ザリガニ軍側は「理髪の善意を曲解するな」と聞く耳を持たない姿勢を見せており、湖底情勢は一触即発の様相を呈している。
歴史的に両者の間では、物理的な接触を避ける「緩衝水草地帯」の設置が検討されてきた。しかし、ウチダザリガニ側は食欲と美的感覚が混同した独自の価値観を持っており、特に「毛羽立ちの激しい個体ほど食欲をそそる(あるいは切りたくなる)」という性質が、今回のような過激な外交圧力に繋がっている。かつてマリモ連邦が行った『全湖美容矯正』により真球度が高まった個体が増えたことも、逆にザリガニ軍の「カットしたい」という衝動を刺激する皮肉な結果を招いた可能性がある。専門家は「彼らにとっての日常的剪定が、マリモにとってはアイデンティティの剥奪に等しい」と警鐘を鳴らしている。
「毛羽立ちこそが私たちの魂の叫びだ!」という抗議の声が連邦全土に響き渡っている。マリモ市民の間では、ザリガニのハサミを無力化するための「防刃コーティング」や、逆にトリミングした繊維を接着剤で繋ぎ合わせる「エクステ運動」が急速に普及している。一方で、ザリガニ軍内でも「ハサミの入れ方を間違えて毛先が枝分かれしてしまった」という批判が噴出しており、軍の統制が揺らいでいるとの噂も浮上した。国際社会はザリガニの過剰な美意識介入を非難する声明を次々と出しているが、当事者であるマリモ連邦は「今すぐ武装して泥沼の底から奴らを追い出せ」と、かつてない強硬姿勢に転じている。
今回の件を受け、世界各地のマリモ代表からは「見た目だけで個体を評価する時代は終わった」と激しい怒りの声が上がっている。特に『真球至上主義』を掲げる急進派市民は、ザリガニのハサミに反応しない「特殊耐性繊維」の開発に着手したと発表した。また、一部の国際アナリストは、この争いが単なる形状問題ではなく、水中の栄養資源を巡るマクロな領土権争いの火種であると指摘している。次にザリガニ軍が動き出すのは、マリモ連邦が保護区域に指定している『神聖なる藻場』ではないかという憶測が飛び交っており、緊張の糸は極限まで張り詰めた状態だ。
ウチダザリガニ軍、マリモ連邦との境界で『爪切り外交』を強行――「過度なフサフサは不潔」との主張に国際社会が激怒
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