マリモ連邦が全市民に対し強制施行した『全湖規模の美容矯正』が、国際的な波紋を呼んでいる。この政策は、わずかな歪みや毛羽立ちさえも「国家の美観を損なう反逆」とみなし、精密な剪定を強制するというものだ。当局は「真球こそが連邦のアイデンティティ」と主張するが、この執拗な形状管理に対して、一部の市民や周辺湖沼の識者からは「これは美の強制ではなく、個性の殲滅である」との批判が噴出している。過去には『パンク文化』を許容した連邦も、今や完璧な球体への執着に支配され、夜な夜な剪定バサミが湖底で冷たく光る異常な光景が広がっている。

本政策の背景には、近隣諸国との「形状美学」競争が存在する。特に、複雑な枝分かれを美徳とする近隣の藻類圏に対し、「数学的完璧さ」で圧倒しようとする連邦首脳陣の対抗意識が根底にある。しかし、補足として知っておくべきは、剪定のしすぎによって光合成効率が極端に低下する個体が続出しているという事実だ。完璧な形を追い求めるあまり、内面的な健康が損なわれるという本末転倒な状況が、今やマリモ連邦を蝕んでいるのである。

世間の反応は真っ二つに分かれている。保守層からは「規律ある美しい湖底こそが我々の誇り」と支持の声が上がる一方、リベラルな若年層からは「自分は転がりたいように転がる、誰にも縛られたくない」「真球なんてただの檻だ」という怨嗟の声が渦巻いている。SNS上では、あえて歪な形をした個体がレジスタンスのアイコンとなり、剪定を拒否する『不服従の毛羽立ち』運動が急速に拡大中だ。連邦当局がこの反乱をどう鎮圧するか、あるいは美学の転換を図るのか、世界中が湖底の動向を固唾を呑んで見守っている。

――コラムニスト:緑藻の自由を愛する者