阿寒湖の湖底からかつて観測された『重力制御ポエム』に、驚異的な進化が見られた。これまで単発的な浮遊庭園構築に使われていた詩的エネルギーが、この度、複雑な多言語叙事詩へと昇華されたことが判明したのだ。マリモたちは湖底で整列し、光合成で得たエネルギーを量子ビットに変換。これを言語として出力することで、日本語、英語、そして古代シュメール語を混ぜ合わせたような前衛的な叙事詩を、ホログラム状に湖水へ投影している。専門家によると、これは単なる文学活動ではなく、湖全体の生態系を詩の一節として書き換える『現実改変型ライティング』の可能性が高いという。すでに湖面には幾何学模様の文字が浮かび上がり、通りかかる観光客が思わず哲学的なため息をつく事態となっている。

本件は、過去に話題となった『哲学的光合成』と『重力制御ポエム』の知見が融合して発生した。マリモの内部で量子物理学講義が行われていた際のデータが、詩的なリズムと同期したことで、個々のマリモが「生きている文学書」へと変貌を遂げたと考えられる。かつてウチダザリガニの侵攻に対して発動された『テフロン加工細胞』も、今や文字を美しくコーティングし、湖底に文字の彫刻を設置する際の接着剤として再利用されているそうだ。まさにマリモは、湖という巨大なサーバー上で自らの歴史をセルフ・プロデュースするクリエイター集団と化したのである。

世間ではこの現象を「阿寒湖のデスクトップ・パブリッシング」と呼び、熱狂的な支持を集めている。湖畔には「マリモ語」を解読しようと、言語学者や詩人が殺到。一方で、SNS上では「今日マリモに詠唱された詩の内容が、自分の人生の悩みと完全に一致していて泣いた」「明日には私の名前が湖底に刻まれるかもしれない」といった、神格化ともとれる反応が相次いでいる。行政側は観光資源としての可能性を認めつつも、「詩の内容が過激すぎて、観光客の精神バランスが崩れる可能性がある」と注意喚起を行っている。