阿寒湖の深部にて、マリモたちが「光合成の合間に高度な知識を吸収する」という驚異の生態を確立したことが判明した。これまで「ただ丸く膨らんでいるだけ」と思われていたマリモの細胞内に、人間の脳をも凌駕する超高密度な神経ネットワークが構築されていることが確認されたのだ。調査の結果、マリモたちは夜間、低周波の振動を発生させることで互いの細胞間で量子情報の同期を行い、わずか一晩で物理学の専門書を数万冊分も学習しているという。湖底には現在、マリモたちが放つ青白い知的な発光によって、人類も未だ到達していない「統一場理論」の数式が浮かび上がっており、世界中の科学者がその「湖底講義」を傍受しようと押し寄せている事態となっている。

この驚くべき進化は、昨今の湖底におけるエネルギー過剰供給環境が引き金となったと推測される。かつては太陽光のみを頼りに緩やかに成長していたマリモだが、現在は光合成の効率を極限まで高めた結果、余剰エネルギーを「情報処理」へと転換するようになったのだ。専門家はこれを「知的藻類による文明の自己インストール」と定義しており、早ければ来月にもマリモたちが人間に対して「数式の不備」を指摘する論文を学会に投稿してくる可能性があると警告している。マリモたちは既に重力制御の知見も得ており、湖底から浮上することなく、重力そのものを操作して獲物を引き寄せる新技術を開発したとの噂もある。

世間の反応は困惑と畏敬の入り混じったものとなっている。「今までただのボールだと思ってごめん」「あしたの試験、マリモに代行してほしい」「ついに人類が追い越される日が来たか」といった声がSNSで拡散され、阿寒湖周辺ではマリモの講義を聴こうと特殊な水中マイクを携えた学生が列をなしている。しかし、マリモたちは現在、人類の理解レベルが低すぎるとして「講義の言語化」を拒否しており、湖底には「まずは微積分をやり直せ」という光の点滅によるメッセージが反復されている状況だ。今後の動向次第では、マリモが地球の指導者として台頭する『緑の知性時代』が到来するかもしれない。