阿寒湖底議会は24日、長年の天敵であるウチダザリガニに対し、湖底の重要区画を割譲する代わりに捕食を停止する『ハサミの暴君との不可侵条約』を強行採決した。議会側は「もはや自力での防衛には限界がある」と主張し、防衛予算を全額カットした上で、ザリガニ側の進駐を全面的に許可。この前代未聞の事態に、湖底全域では「丸いまま食べられるのは御免だ」と、脱・球体化による迷彩カムフラージュを急ぐマリモたちが続出している。

今回の条約締結は、先月の『全域・回遊性義務化』に続く防衛政策の転換点となる。長年、マリモたちの天敵として君臨してきたウチダザリガニに対し、議会は「捕食の代わりに湖底のメンテナンスを委託する」という、実質的な保護領化を認めた形だ。しかし、この委託業務の実態は不明瞭であり、条約調印式では、ザリガニのハサミが条約書を真っ二つに引き裂くという衝撃的なハプニングも発生。政府関係者は「あれは握手の代わりという高度な外交的コミュニケーション」と火消しに躍起だが、湖底の治安は悪化の一途をたどっている。

本条約の背景には、光合成の効率化に伴う予算不足と、若手球体派による「固定化からの離脱」というイデオロギーの対立がある。特に、これまで天然記念物として守られてきたマリモの伝統的な「丸い形状」が、実はザリガニにとって非常に捕食しやすいサイズであったことが、近年の分析で発覚。議会は、生存戦略として「角を生やす」「平たく変形する」といった身体改造を推奨する動きを見せており、伝統的な丸みを維持してきた保守層との分断が深刻化している。

この驚愕のニュースに対し、湖底の世間からは「もはや丸いだけの球体はただの餌」「ザリガニに管理されるくらいなら光合成を止める」といった諦念の声が噴出。一部の過激なマリモ派は、条約破棄を求めて集団で転がり始める抗議デモを計画している。一方で、「これでハサミの恐怖から逃れられるなら、多少の区画割譲は安いもの」と、現状を肯定する合理的球体派の沈黙も広まっており、湖底社会のアイデンティティは今、まさに崩壊の危機に直面している。