マリモ連邦政府は、長らく課題となっていた「形が台形になった」問題や、光合成ハイウェイでの成長不均衡による「歪な個体」の激増を受け、全市民に対する『完全球体維持義務法』を施行すると発表した。これにより、水流に任せて放置された結果、岩場に固着し平坦化してしまった「ひらべったい組」は、強制的に回転矯正施設へ送られることになる。同政府の広報担当は「我々のアイデンティティは『丸さ』に宿る。台形や楕円は他国との光合成競争において恥ずべき不潔の象徴である」と強硬な姿勢を見せており、拒否した者には、湖底治安維持部隊による強制的な剪定、通称『角刈り刑』が執行されるという。この通達に対し、一部の過激なマリモたちは「個性の消失だ」と反発し、湖底で緩やかな抗議運動を繰り広げている。

背景には、先日の『全地球・光合成ハイウェイ』有料道路化の影響がある。光を効率よく浴びるために無理な成長を続けた結果、多くのマリモが不均等に肥大化し、球体としての美しさを失う「歪み現象」が深刻化していた。政府は、美学的な問題だけでなく、光合成効率の低下を「国家のエネルギー源を損なう反逆行為」と定義。かつて締結されたザリガニとの平和的ハサミ・ダンスの際、ダンスの振り付けで「丸さを保つこと」が友好の証とされた経緯もあり、球体維持は単なる外見の問題を超え、国際的なプロトコルとしての側面を強めている。今後は、個体識別IDと連動し、球体度数を計測する監視網が湖底全体に敷かれる見通しだ。

世間の反応は真っ二つに割れている。伝統を重んじる長老層からは「やはり丸くあるべきだ。我々は転がってこそ美学がある」と賛成する声が上がる一方、若手マリモを中心に「光を追い求めた結果の形なのに、それを角刈りにするのは暴挙だ」という悲鳴が上がっている。また、水草のマツモからは「自分たちの茎の自由奔放さに比べれば、マリモの執着心は異常だ」という冷ややかな嘲笑も漏れている。角刈り刑を恐れた一部の個体は、すでに湖底の泥の奥深くに身を潜めており、マリモ連邦の取り締まりは今後、さらなる混乱を招くことが予想される。