羽田野氏が開発したのは、圧縮空気の力でマーガリンを霧状にし、食パンに均一に定着させる『スプレッド・キャノン』と名付けられた装置です。氏は「ナイフで塗るという非効率な動作を人類から開放したかった」と、開発の動機を語ります。
しかし、試験運転のスイッチを入れた瞬間、装置は暴走しました。想定されていた食パンへの射出ではなく、装置自体が高速回転を開始し、毎秒300グラムものマーガリンを全方位へ向けて発射。まるで黄色いスコールが室内を襲ったかのような光景が展開されました。
「最初は故障かと思いました。しかし、壁に激突して跳ね返るマーガリンの弾道を見て、芸術性を感じてしまったんです」と羽田野氏は当時の心境を振り返ります。リビングの壁、天井、そして運悪くその場に居合わせた飼い猫のポチまでもが、均一に、そして美しく黄色く彩られました。
事態を収拾するために駆けつけた近隣住民は、窓から漏れ出る強烈なバターの香りと、壁一面に広がる黄金色の惨状を見て「まるで絵画のようだったが、食欲は一切湧かなかった」と語っています。
羽田野氏は現在、この「リビング・マーガリン化事件」を逆手に取り、部屋の防湿・防腐効果を狙った新しいインテリア・コーティング手法として特許出願を検討しているとのことです。
なお、射出の勢いがあまりにも強すぎたため、リビングの壁に掛かっていた時計には現在も厚さ5ミリのマーガリンが堆積しており、時を刻むのを諦めたかのようにピタリと針が止まったままの状態です。
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