納豆愛好家の万能田健一さんは、数年前から「納豆の旨味はかき混ぜた回数に比例する」という仮説を独自に検証し続けてきた。当初は300回程度で満足していた彼だったが、次第にその飽くなき探究心はエスカレート。先週にはついに大台の5万回に到達し、彼の手はもはや人間離れした速度で回転していたという。
目撃者によると、万能田さんが5万1回目をかき混ぜた瞬間、彼のキッチンから凄まじい光が放たれた。まるで銀河の渦のような輝きが部屋中を包み込み、納豆の糸は重力に従わず、空中に浮かび上がる幾何学模様を描き始めたのである。近所の住民は「何か異星人が降りてきたのかと思ったが、漂ってきたのは猛烈な納豆の芳醇な香りだった」と困惑気味に語る。
現場に駆けつけた専門家チームは、万能田さんが作った納豆を「時空の歪みを感じさせるほどの粘り気」と評した。物理法則を無視して絡みつく豆たちは、もはやただの食材ではなく、宇宙の真理を内包した生命体に近い何かへと進化していたようだ。
さらに驚くべきことに、その納豆を一口食べた万能田さんは、「宇宙が見えた」と呟いた直後、自身の箸が超新星爆発の輝きを放ち、キッチンの壁を突き抜けて遠くの惑星まで伸びていったという。彼は今もなお、宇宙の彼方から送られてくる美味しい醤油のレシピを待ち続けている。
この騒動を受け、地元自治体は「納豆のかき混ぜすぎによる銀河召喚の防止に関する条例」の制定を急ぐ構えだ。専門家は「常識的な回数である30回程度に留めることが、平和な食卓を守る唯一の手段である」と注意を呼びかけている。なお、万能田さんが使っていた箸は、現在も博物館に展示されているが、時折、勝手に回るという。
結局、その究極の納豆ごはんは、彼が一口も食べる前に重力崩壊を起こし、キッチンのシンクに直径10センチの小さなブラックホールとして残されたままとなっている。これからは、毎朝の朝食作りには細心の注意が必要になりそうだ。
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