都内在住の会社員、羽田野健二郎さん(34)は、今週火曜日、自宅にて異様な光景を繰り広げていた。彼は「納豆を5万回かき混ぜると分子構造が変化し、空に浮かぶ」という都市伝説を実証するため、早朝から一心不乱に納豆をかき混ぜ続けていたのである。
羽田野さんの手元には、超高速回転を可能にする自作の『納豆専用遠心分離機』が設置されていた。しかし、羽田野さんは「機械は魂を理解しない」と、あくまで自らの手首のみで回転させることにこだわり、開始から3時間経過した頃には、彼の右手は残像しか見えないほどの速度に達していたという。
目撃者によると、キッチンからは「シュイイイイン」という高周波のような音が響き、納豆のネバネバ成分である納豆キナーゼが空気と高速で反応し、室内に独特の虹色に光る霧が発生していたそうだ。近所の住人は「納豆の香ばしい香りが漂う霧の中から、羽田野さんの狂気じみた笑い声が聞こえて怖かった」と証言している。
駆けつけた警察官が現場に突入した際、羽田野さんは既に放心状態で、目の前の茶碗には納豆ではなく、完全に未知の光り輝く白い繊維の塊が鎮座していた。その物体は意志を持っているかのように自ら形を変え、茶碗から這い出そうとしていたという。
「ただ、最強の糸の弾力を確認したかっただけなんです」。保護された羽田野さんは、取調室でもなお、右手で空中に向かってかき混ぜる動作を繰り返している。なお、残された物体は現在、専門の研究所で解析中だが、研究員からは「うっかり箸を近づけると、逆に糸で巻き取られそうになる」との報告が上がっている。
結局、羽田野さんが目指した「空に浮かぶ」という目的は達成されなかったものの、彼が作ったその謎の物質は、驚異的な吸着力により、室内の家具をすべて天井に貼り付けるという謎のインテリア革命を巻き起こした。羽田野さんは現在、「次は卵かけご飯で雲を作れるか検証したい」と意欲を見せている。
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