都内在住の会社員、速水健二郎さん(52)は、30年間にわたり毎朝欠かさず納豆ごはんを食べ続け、その味を極めることに人生のすべてを捧げてきた人物だ。彼のアパートの一室は、全国から取り寄せた数千種類の納豆のラベルと、理想の米の炊き加減を記録したノートで埋め尽くされている。
速水氏が掲げた理想は、『銀河の彼方で食べたとしても違和感のない、宇宙規模の納豆ごはん』である。彼はこれまでに、醤油の代わりに地層の塩を使ったり、納豆を無重力状態に見立てて混ぜたりと、常人には理解しがたい試行錯誤を繰り返してきた。
そしてついに今朝、速水氏はその完成形を発表した。彼が披露したのは、なんと納豆と米を粉末状に砕き、真空パックに封じ込めたチューブ入りのペーストだった。速水氏は「噛むという動作は納豆ごはんの風味を逃がす無駄な行為。これこそが、納豆の魂をダイレクトに脳へ送り込む最終形態だ」と自信満々に語った。
しかし、記者団が実際にその『宇宙食納豆』を試食したところ、その味は「非常に強力な接着剤に、乾燥させた豆の粉を混ぜたもの」に酷似しており、食べた瞬間に口の中が強烈に貼り付くという、未知の食体験が提供された。
速水氏は「まだ味のチューニングの余地がある」と語り、次は宇宙空間での咀嚼なし摂取を目指すため、NASAへの直接交渉を計画しているという。周囲の心配をよそに、彼は明日もまた、新たなチューブの開発に没頭する予定だ。
結局のところ、速水氏が30年間で学んだ最大の教訓は、『普通の茶碗で食べる納豆ごはんが一番うまい』ということだったらしく、取材の最後に彼は冷蔵庫から出した普通の納豆をパックのまま食べながら、「やっぱりこれは越えられない壁だな」と遠い目をして呟いた。
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