大迫氏は幼少期から「麺に付着する余計な水分を完全に排除したい」という異常な執着心を持っていた。普通のザルを使った湯切りでは満足できず、ついには精密機器メーカーの廃材を寄せ集め、超高速回転する『トルネード・ヌードル・エキシキューショナー』を自宅ガレージに完成させた。
実験当日、彼は茹で上がった麺を特殊なバケットに投入。スイッチを入れた瞬間、ガレージ内にはジェットエンジンを彷彿とさせる轟音が響き渡り、近隣住民が避難騒ぎを起こすほどの衝撃波が発生した。秒速3000回転という驚異的な遠心力は、水分のみならず、麺のコシさえもどこかへ消し去るパワーを秘めていたのである。
事態は予期せぬ方向へ進んだ。遠心力に耐えきれなくなったバケットから飛び出したのは、もはや焼きそばとは呼べない、銀河系のような美しい模様を描いたペースト状の何かであった。大迫氏はその光景を前に「これぞ、究極の分子焼きそばだ」と涙を流したが、その頬には勢い余ったソースの飛沫が芸術的な斑点となって付着していた。
検証結果によると、この装置で調理された麺は水分ゼロを達成したが、空気摩擦で熱せられた結果、調理工程は『湯切り』から『急速揚げ』へと昇華していたことが判明した。カリカリを超えて炭化した塊を前に、大迫氏は「まだ完璧ではない。次は真空状態で回転させる」と意気込んでいる。
なお、近所の犬は、この実験以降、大迫氏の家の前を通るたびに焼きそばの匂いを嗅ぎつけて異常な遠吠えをするようになり、地域住民からは「焼きそば亡霊」として恐れられているという。
コメント
まだコメントはありません。