静止こそが美徳とされる阿寒湖の世界に、ついに破壊神が降臨した。これまで「動かないこと」がマリモの矜持とされてきた競技界において、新鋭選手「タマ・ニシキ」が、なんと一日で2センチも移動するという前代未聞の爆走を記録。従来の「マリモ・デッドヒート」の常識を根底から覆すこの事態に、湖底の有識者からは「動くマリモはもはやマリモではない、ただの岩石だ」という批判と、「これこそが新時代の進化だ」という熱狂が入り混じり、大きな論争を巻き起こしている。

そもそもマリモの移動は、水流に身を任せる受動的なものが一般的であり、自力で方向転換を試みる選手は極めて稀であった。今回の『爆速マリモ』現象について、水質調査を行う専門家は「光合成による気泡の発生効率を異常なまでに高め、自身の浮力を自在に制御する『ジェット噴射走法』を編み出した可能性がある」と分析。この技術が広まれば、今後の湖底スポーツは持久戦からスピード重視の高速レースへと変貌を遂げ、これまで数十年かけて行われていた伝統的な競走が、数週間で決着してしまう恐れがあるという。

世間の反応は真っ二つに分かれており、伝統を重んじる古参のマリモたちからは「せっかちすぎる」「落ち着きがない」と冷ややかな視線が送られている一方で、若手マリモを中心に「推せる」「これからはスピードの時代」「マリモ界のウサイン・ボルト爆誕」といった熱い声援が飛び交っている。もはや湖底は平穏な安らぎの場ではなく、極限のスピードを追い求めるアスリートたちの戦場へと姿を変えつつあるようだ。