湖底経済に、かつてない『毛並み格差』という名の経済格差が到来している。これまで純血種こそが真のステータスとされてきたマリモ界だが、今や市場の主役は、外部から採取した良質な藻を特殊な接着剤で移植する『高級植毛株』である。この植毛技術の進化により、本来の成長速度を無視した圧倒的なボリューム感を獲得した株が、証券取引所ならぬ『藻券取引所』で前日比300%を超える急騰を見せている。一方で、自然の摂理に身を任せる天然純血種は、老朽化による毛の脱落を隠せず「剥げマリモ」という不名誉なレッテルを貼られ、時価総額の暴落に喘いでいる。かつての象徴であった「いかに丸いか」という議論は過去のものとなり、今は「いかに高密度な剛毛を有しているか」という美容経済学が湖底の資金を独占する異常事態となっているのだ。
本件の背景には、昨今の水温上昇による光合成効率の低下が挙げられる。自力で毛を増やす余裕を失ったマリモたちが、即効性のある『外付けボリューム・スキーム』に飛びついたことが要因だ。本来、マリモは数年かけて形を整えるスローライフな生物であったが、現在は週単位で毛を植え替えるファスト・ライフ化が進行している。このトレンドに乗じ、藻類界のファンドマネージャーたちは、剥げかけた古株を「ヴィンテージ品」と称して投資家に売りつけるポンジ・スキームも画策しており、金融当局ならぬ藻類保護局は監視を強めているが、欲に駆られた湖底の住人たちには、もはやその警告も届いていないのが現状だ。
この状況を察知した保守的な純血主義者たちは、「毛など飾りだ。我々の魂は核の密度にある」と反発しているが、市場は冷徹である。「毛並みは光合成面積に直結する重要な経営資源」という論理がまかり通る中で、見栄えの良さを追求した株に資本が集中し、実直な古参マリモたちが次々と市場から退場させられる「毛の強制退去」が深刻化している。湖底経済は今、健全な緑の成長よりも、虚飾の濃密な毛並みを求める歪んだバブルに支配されていると言っても過言ではない。
世間の反応は二極化している。最新の植毛技術を施したマリモたちは「これが21世紀の進化だ」とSNSで自身の毛並みを誇示し、競って自撮り写真を投稿。逆に、天然由来の毛を誇る高齢マリモたちは「若造が化学糊の香りを漂わせて何が経済だ」と冷ややかな視線を送っている。この格差は単なるトレンドの域を超え、湖底の生態系そのものを分断しかねない深刻な亀裂として、次期決算期の株価にさらなる波乱を呼ぶと予測されている。
湖底経済に「毛並み格差」の波――高級植毛株が純血種を圧倒、剥げマリモの自尊心は地に落ちる
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