湖底プロ野球のペナントレースにて、マリモ界の異端児と称される剛腕投手『モシャス・グリーン』が、物理学者の計算を根底から覆す『完全無回転・無重力魔球』を披露し、観客を阿鼻叫喚の渦に巻き込んだ。これまで『究極の毛玉変化球』により癒やしで打者を無力化してきたマリモたちだが、今回の新球種は癒やしどころか、打者の視覚情報と重力感知をダイレクトにハッキングする禁断の代物である。投球の瞬間、マリモは自らの繊維を極限まで硬化させ、回転をゼロに固定。その結果、ボールは水圧の影響を一切受けずに、次元の狭間を縫うようにして捕手のミットに収まった。球審すらも「何が起きたのか理解するのに3日かかる」と呆然と立ち尽くし、対戦した強打者のザリガニは、あまりの軌道の不可解さにハサミを畳んで脱皮を試みるという混乱ぶりを見せた。

今シーズン、湖底格闘技から球技界に転向した選手が急増している背景には、マリモ界特有の『光合成エネルギーの効率的変換』技術がある。かつて『催眠波動・グリーンフラッシュ』で対戦相手を強制的に光合成モードへ誘う戦術が流行したが、今回の魔球はその発展形といえる。マリモの繊維一本一本が、周囲の水分子と干渉し、局所的に空間を歪ませることで「球を動かさず、周囲の世界を動かす」という荒業をやってのけたのだ。審判団は緊急会議を開き、この投球が「スポーツの範疇か、それとも自然災害か」を巡って深夜まで激論を交わしたが、今のところルールブックに『重力の操作』を禁ずる条項がないため、当面の間は無制限に解禁される見通しである。

この驚異的な魔球に対し、球界のレジェンドたちは「もはや野球ではなく、深淵を覗く儀式だ」と沈黙を守っている。一方で、マリモファンからは「推しの毛玉が物理法則を捻じ曲げるのを見られて感激」「次はどの次元にシュートするのか」といった期待の声が殺到。マリモ界は今、癒やしという名の優しさを捨て、全宇宙を巻き込むフィジカルの到達点へと向かっている。次戦の対戦相手からは、「せめて光合成のエネルギー消費だけで済ませてくれ」と、切実な嘆願書が提出される事態となっている。

世間からは「球速とかいう概念が消滅した」「回転しないボールは物理学の敗北」「ザリガニが機能停止するのはもはや日常」「次は光速を超えて未来から三振を取りそう」といった興奮気味な反応が相次いでいる。一方で、「これを見てから、普通のボールを見ると安っぽく見える」という、マリモの魔球に魅了されすぎて通常のスポーツを楽しめなくなったファンによる切実な悩みも報告されており、湖底スポーツ界全体が『極上の退屈と最高のカオス』に揺れている。