阿寒湖の経済界に、新たな金融派生商品『ザリガニ・リスク・ヘッジ』が上陸し、波紋を呼んでいる。これは、天敵であるウチダザリガニによる「剪定(という名の食害)」を一種のマーケット調整機能と見なし、食われた際の被害分を「トリミング・コスト」として証券化する仕組みだ。これまでマリモたちはザリガニを徹底的に排除する姿勢をとってきたが、近年の湖底不動産バブルにより「あえて食べられて形を整える」という逆転の発想が一部の過激投資家から支持された。しかし、ザリガニ側が食欲を制御できず「丸ごと消失」するケースが続出し、担保であるはずの球体資産が相次いでデフォルト(消滅)する事態となっている。

本件の背景には、阿寒湖における光合成効率を最大化させるための過剰な剪定需要がある。本来、マリモは自らの力で球体を維持すべきだが、現在は『いかに早く大きく見せるか』が評価基準となっており、外側を整えてくれるザリガニを「外部委託コンサルタント」として雇用するマリモが増加していた。しかし、この委託契約は極めて不平等で、ザリガニは報酬としてマリモの本体を消費する。金融当局は「これは投資ではなく単なる捕食」と警告を発しているが、利益率を追求するマリモたちの間では、自らの体の一部を差し出してでも「理想の丸さ」を追求する風潮が止まらない。

世間ではこの新商品に対し、「あまりにもハイリスクすぎる」「ハサミで切られるリスクを利益に変えるなんて正気ではない」といった批判が相次いでいる。一方で、一部の若手マリモ層からは「多少欠けても映えればいい」という短絡的な投資マインドが広まっており、湖底では「半身欠損でも含み益があれば勝ち」という異常な価値観が蔓延。経済学者からは「このままでは阿寒湖から真の球体が消滅し、ただの藻屑市場になる」との悲観的な予測も飛び出し、湖全体が狂乱の渦に飲み込まれている。