湖底の騎士道精神を根底から揺るがした、ザリガニのハサミを『極上の抹茶チョコ』と誤認させるというあの忌まわしき偽装戦術。これを「マリモ界の革新的な生存戦略」と持て囃す風潮に対し、私は断固として反対の意を唱えたい。確かに、天敵の眼を欺き、その隙に湖底の隅へと退避する戦術は、効率という名の麻薬に侵された現代のアスリートには魅力的に映るかもしれない。しかし、考えてみてほしい。マリモの誇りとは、光合成を待ちわびる静謐な時間と、重力に抗わない堂々たる沈黙の中にこそ宿るものではなかったか。偽りの香りで相手を誘い、その隙に逃げ出すなど、もはやスポーツマンシップならぬ「藻マンシップ」の完全なる崩壊である。私たちは、抹茶の甘い誘惑に頼らずとも、ただそこに在るというだけでザリガニを圧倒できる、そんな高潔な藻体であるべきだ。偽装に頼る勝利など、泥水よりも価値がないと知るべきである。誤認誘発戦術の全面禁止こそが、湖底の平穏を取り戻す唯一の道だと私は信じている。コラムニスト:深緑の賢人