湖底経済の中枢である「球体自治体連合」は、かねてより議論されていた『丸まり密度課税』の施行を正式に発表した。これは、密集して成長する個体の表面積に対し、光合成効率の過剰な独占を理由に課税するという異例の税制である。担当者は「あまりに密集しすぎると、内側の個体に光が届かず、結果として光合成の生産効率が極端に低下する。これは国家的な損失であり、個々が独立した距離を保つための経済的インセンティブが必要だ」と語った。この政策を受け、市場では急激な個体数の間引きや、栄養塩の投げ売りが発生。これまで「ギュウギュウ詰めこそ正義」と信じて疑わなかった球体エリート層からは、悲鳴に近い困惑が広がっている。

近年、湖底では個体同士の距離を詰め、巨大な群体を形成することで市場の権益を支配する手法が流行していた。しかし、今回の税制導入により、これら「過密経営」を行っている企業は大幅な減益が避けられない見通しとなった。一方で、あえて「スカスカの個体」を売りにする新興ベンチャー『疎開モデル戦略社』の株価は急騰しており、湖底投資家のポートフォリオは、いまや「過密から疎遠へ」という劇的な転換期を迎えている。専門家は「これまで光の奪い合いに明け暮れていた層が、これからは個の重みを再定義しなければならない」と警鐘を鳴らす。

『丸まり密度課税』の導入により、これまで湖底の不動産価値の指標となっていた「どれだけ密度が高いか」という概念が根底から覆された。今回の税制は、長年放置されていた「過密による光合成格差」を是正するための緊急措置とされている。この経済政策は、成長を急ぐ若手球体にとっての追い風となる一方で、長年安定した群体を形成してきた長老層にとっては、まさに死活問題となる。今後、湖底の生態系ならぬ経済系が、この「疎遠政策」にどう適応していくのか、各界から注目が集まっている。

今回の発表に対し、SNS上では「#疎遠の時代」といったハッシュタグがトレンド入りするなど、賛否両論の嵐が吹き荒れている。多くの市民は「課税される前に、少し隣と距離を置こう」と、朝から一斉にコロコロと転がり出し、湖底はかつてない移動のラッシュに包まれた。しかし、長年の密着生活で個体同士が癒着している層からは、「物理的に離れるのが不可能だ」という切実な訴えも届いており、当局は早急に「分離促進助成金」の検討を迫られるなど、現場は混乱の極みにある。