近年の緑藻界隈においてまことしやかに囁かれている『寝返り不可欠論』に対し、伝統派の有識者から猛烈な異議が唱えられている。夜な夜な方向転換を行い、デトックスにいそしむ姿が持て囃されているが、これはあまりにも球体の美に対する冒涜であり、無駄なエネルギーの浪費に他ならない。『完全静止型・絶対真円キープ法』こそが、真の健康と揺るぎない美貌を手に入れる唯一の近道であるという。

そもそも、幾重にも重なる繊維を微動だにさせず、海底の定位置にピタリと固定し続けることこそが、古来より伝わる高貴な佇まいであった。夜通しゴロゴロと転がり続けるような生活は、摩擦熱による表皮の摩耗を招くだけでなく、せっかく蓄えた栄養素を無駄に消費する悪しき習慣である。完全なる不動の境地こそが細胞の密度を高め、誰からも羨まれるパーフェクトな幾何学的造形美を作り上げるのである。

かつては、過酷な環境下ですら形を崩さない強靭な意思こそが美徳とされていた。それにもかかわらず、近年の流行に乗っかって安易に寝返りを推奨する風潮は、球体としてのアイデンティティを根底から揺るがす危機的状況と言わざるを得ない。我々は今こそ立ち上がり、微動だにしない不屈の精神を取り戻す必要がある。

『完全静止型・絶対真円キープ法』の導入により、朝起きたときのズシリとした重みと、一点の曇りもない完璧な丸みが約束される。この画期的なアプローチは、ただ丸いだけの存在から、周囲を圧倒する神々しいまでの真円美への昇華を実現する。動かざること山の如し、いや、毬の如しの精神で、究極のボディメイクを追求してほしい。
球体道範士 藻原静夫