湖底議会において、近年急増する低層部個体の「影への恐怖」を解消するため、『日光受給権の防衛戦略』がついに本会議へと持ち込まれた。この戦略は、過剰な肥大化個体が湖底を占拠し、下層部に住む若手緑球たちの太陽光を遮断する行為を「光の略奪」と定義し、厳しく制限する画期的な法案である。賛成派は「等しく光を浴びる権利は生存の基本」と主張する一方、反対派からは「自由な成長を阻害する不当な規制」との声が上がり、議場はかつてない緊張感に包まれている。

本件の背景には、かつては平和を維持していた球体界が、過度な栄養摂取による巨大化競争によって「影の格差」が深刻化したことがある。これまでは個人の裁量に任されていた光の分配だが、一部の超特大個体が影を独占し、後続の個体が茶色く枯れ落ちるという悲劇が続出した。そこで若手議員らが提唱した『日光受給権の防衛戦略』は、全個体に対して「影の投影面積」に比例した「反照光還元税」を課すことで、経済的・光的に均衡を保とうとするものだ。さらに、最新の測量技術による「日照シミュレーション」の義務化も盛り込まれており、個体たちは戦々恐々としている。

これに対し、世間では賛否が真っ二つに分かれている。若手個体からは「これでようやく光が拝める」と喜びの声が上がる一方、歴史ある重鎮たちからは「球体としてのアイデンティティが損なわれる」といった反発が根強い。一部の過激派からは、日照を巡って「湖底全域の反射板再配置を要求する」というデモ行進の噂も流れており、議会の対応一つで湖全体の秩序が崩壊しかねない事態となっている。

結局のところ、本法案が施行されれば、湖底には「計画的な配置」が求められることになり、自由奔放な回転移動は制限されることになるだろう。光を求めるか、自由な移動を求めるか。湖底の住民たちは、今まさに歴史の分岐点に立たされている。光合成によるエネルギー獲得の効率化を求める声は止まらず、議長による最終決議に向けて、全域で活発な議論が交わされている状況だ。