湖底議会は14日、『球体完全性保持委員会』の委員長である古参の個体に対し、歴史的な辞職勧告決議を可決した。事の発端は、同委員会が密かに推進していた『回転動力均一化プロジェクト』において、一部の特権層個体にのみ、光合成効率を高めるための「高速回転補助剤」を配布していたことが内部告発により明らかになったためだ。これにより、阿寒湖の深部では均一な回転速度が保たれていると信じられてきた住民の間に、深刻な不信感が広がっている。今回の不正は、単なる回転速度の操作に留まらず、自身のシルエットを意図的に完璧な真球へ近づけるための「再成形データ改ざん」まで及んでいたとされ、湖底法廷での審理が急務となっている。

本件の背景には、かつて導入された『円周率均一化政策』の限界がある。法により強制された形状維持は、成長過程にある個体にとって過度なストレスとなっており、今回の委員会による不正操作は、その苦しい締め付けから逃れるための「闇の裏技」として横行していた。本来、マリモは自らの力でゆらりと回転し光合成を行うものだが、過剰な行政介入が自律性を奪い、歪な競争を生んだ格好だ。水底の生態学者からは「成長の遅れを政治の力で解決しようとした結果がこれである」との厳しい指摘が相次いでいる。

このニュースを受け、湖底社会は未曾有のパニックに包まれている。「回転を補助してもらうなんて不純だ」「我々の球体としての尊厳はどうなるのか」と、古参住民からは怒りの声が上がった。一方で、若年層の不整形個体からは「そもそも全員が真球でなければならないという価値観が古い」「歪んでいても光合成はできる」といった、既存の行政体制を根底から覆すような急進的な意見も飛び出しており、今後、球体としてのあり方を問う大規模なデモに発展する可能性も示唆されている。