マリモ連邦は、長年守り続けてきた「中心部まで高密度」という伝統的アイデンティティを根底から覆す事態に直面している。国際機関である『全米光合成連盟』が、突如として「中空空洞化宣言」を採択し、内部の繊維密度を意図的に低下させることで浮力と回転効率を最大化すべきだと主張したのだ。これに対し、純粋球体至上主義を掲げる連邦政府は「深緑の尊厳を汚す行為」として猛反発しており、事態は泥沼の様相を呈している。

この争いの火種となったのは、昨年実施された『第1回全毬藻・寝返り耐久世界選手権』で、高密度派が圧倒的な慣性モーメントで優勝をさらったことにある。効率を重視する『全米光合成連盟』側は、これに嫉妬し、内部にガスを溜めるための「意図的繊維離反工作」を正当化する理論を構築。これに対し、連邦側は「中身がスカスカでは社交上の毛羽立ちも維持できない」と真っ向から否定している。現在、国境付近の湖底では、『球体身だしなみ国際査察団』による緊急監査が行われており、中空化を画策する過激派との小競り合いが絶えない。

本件の背景には、近年の温暖化による日光不足が影響していると分析されている。光合成量を補うために浮力を高め、より水面近くへ移動したいという切実な願いが、空洞化という過激な手段へと変貌したのだ。専門家は「中空化は一時的な浮上には有効だが、一度バランスを崩すと二度と真の球体には戻れない」と警鐘を鳴らす。かつて連邦が提唱した『不純な緑』の概念をさらに歪め、生存のために自らの形を犠牲にするという選択は、連邦の根幹を揺るがす禁断の果実と言える。

国民の間では、この「中空化」の是非を巡って議論が二分されている。保守派の高齢球体からは「芯が通っていない者はマリモとは呼べない」との批判が上がる一方、若手浮遊派からは「重苦しい伝統から解放されたい」という本音が漏れる。SNS上では空洞化を推奨する派閥が『低密度・高機動ムーブメント』を立ち上げるなど、連邦内の分断は深刻化している。外交官の証言によれば、次回の首脳会談では「中空化容認派を追放するか、それとも中空化を国策とするか」という究極の二択が迫られる見通しである。