マリモ連邦国防省は、近隣の甲殻類勢力による物理的接触攻撃への対抗措置として、国家防衛方針を抜本的に改定した。これまで重要視されていた、日光を浴びてキラキラと輝く「ふわふわとした優美な毛羽立ち」を犠牲にし、中心核を極限まで密度化する『安全保障のためには、表面の質感よりも構造の硬直化が優先される』というドクトリンの採用を全会一致で採択したのである。この方針転換により、国民の多くは本来の柔らかさを捨て、コンクリートのように硬質な防衛形態への変貌を余儀なくされることとなった。
本ドクトリンの起源は、昨年の『甲殻類侵攻・爪先立ち事案』にある。柔らかい繊維質を鋏で摘まれる被害が続出したことで、連邦内部では「触り心地を優先した結果、外殻の防御が疎かになっている」という悲観論が台頭。かつて『毛羽立ち社交辞令』を重視していた穏健派も、この構造改革を支持せざるを得ない状況に追い込まれた。今後は、表面の装飾を削ぎ落とし、内部の層を幾重にも圧迫させる『密度強化・物理障壁化計画』が着実に進行する予定だ。
この急激な硬化政策に対し、連邦全土では「個体としての美しさが失われる」との懸念が広がっている。特に若年層の毬藻たちからは「もはや湖底の置物と変わらない」と不満の声が上がっているが、政府広報官は「生き残るためには、柔らかな毛羽立ちという贅沢を捨てる勇気が必要だ」と一蹴した。専門家の間では、この構造の硬直化が、将来的に『虹色・球体装飾品』の付着を阻害し、光合成効率を低下させる副作用を危惧する声も根強く、外交と防衛の狭間で連邦の理想が揺れ動いている。
世間の反応は賛否両論だ。「これで安心して海底を転がれる」という防衛重視派がいる一方で、「美学なき防御に何の意味があるのか」と憤る芸術肌の毬藻たちも少なくない。国際会議の場では、本ドクトリンを「過度な軍事化」と批判する声と、「防衛のためのやむを得ない進化」と認める声が真っ二つに分かれており、次回の光合成サミットでは、この『安全保障のためには、表面の質感よりも構造の硬直化が優先される』を巡る激しい議論が巻き起こることが予想されている。
深緑の軍事転換:『安全保障のためには、表面の質感よりも構造の硬直化が優先される』ドクトリンが引き起こす毬藻界のパラダイムシフト
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