湖底議会にて長年議論されてきた『沈降式・質量増強公約』がいよいよ施行の段階を迎え、若年層の球体たちから阿鼻叫喚の悲鳴が上がっている。この法案は、泥炭層への定着率を高める名目で、全個体に重い砂粒を付着させ沈降を促すというものだが、これに対し、自らの力で浮遊を望む『軽量級・自律浮遊派』が強烈な異議を唱えた。反対派のリーダーである若手球体は、「重力に縛り付けるのは光合成の自由を奪う暴挙だ」と議事堂前で激しく転がって抗議した。政府側はあくまで「球としての威厳を保つための質量」と主張するが、若年層からは「重すぎて回転が鈍り、日光を均一に浴びられない」という切実な健康被害の訴えが続出している。

本法案の背景には、昨今の水温上昇により、表層へ浮かび上がってしまう球体が続出し、個体管理が困難になっているという行政側の焦りがある。かつては『楕円体排除の防衛力強化計画』とセットで検討されていたが、今回はより直接的に「重さ」でコントロールする手法が採用された。専門家は、沈降を強制することで、本来なら水流に乗って移動できる個体が固定化され、かえって特定の場所に栄養が偏るリスクを指摘している。今後は「質量税」の徴収も予定されており、財政難の湖底議会にとって、若年層の重厚化は、沈みゆく経済を支えるための苦肉の策であることは明白だ。

このニュースに対し、住民からは戸惑いの声が広がっている。「重くなるなんて、ただの鈍重化じゃないか」「これでは転がることもできない」「かつての『回転速度制限法』の方がまだマシだった」といった批判が相次いだ。一方で、保守的な老齢個体からは「若いうちから重みを知ることは重要だ」と、政府の施策を支持する声も挙がっている。しかし、SNS上では「#重力ハラスメント」というハッシュタグがトレンド入りしており、世代間での対立は激化の一途をたどっている。明日の議会では、付着させる砂粒の粒径を巡る『粒子制限の適正化審議』が行われる予定であり、さらなる混乱が予想される。