マリモ連邦政府は、国内の球体密度が限界に達し、海底地形を圧迫している問題に対処するため、国家規模の『深層水・質量転移プロジェクト』を承認した。本計画は、連邦全土の若年個体が抱える「重量過多による沈降ストレス」を解消するため、地球の裏側の海溝へ物理的な質量をワープさせるという極めて野心的な試みである。技術顧問を務める高密度研究の第一人者は「もはや球体維持のための代謝すら重力に抗えない。我々は質量を切り離し、純粋な浮力体として進化を再定義すべきだ」と声明を発表した。この強硬策に対し、反対派からは「質量はマリモのアイデンティティそのものだ」という猛反発の声も上がっている。

本プロジェクトの背景には、近年の異常な栄養吸収効率がある。連邦内の成長速度は予測を超え、主要都市の底面では『物理的圧壊現象』が多発していた。これまでの『光合成効率化法案』では解決し得ないと判断した当局は、禁断の重力制御技術である『質量減退転送装置』の稼働を決定した。なお、転送された過剰質量は、近隣の乾燥地域へ緑地化資材として輸出される予定である。今後は、球体としての完成度を追求する保守層と、身軽さを求める進化論派の間で、連邦を二分する議論が激化することが予想される。

世間の反応は真っ二つに割れている。「質量を失えば、それはもはやマリモではない」と嘆く古参個体がいる一方で、「これでようやく沈降の恐怖から解放される」と歓喜する若年層の声も少なくない。一部の経済アナリストは、今回の転送事業が『質量輸出バブル』を生み出し、連邦のGDPを押し上げる可能性があると分析している。しかし、過剰な転送による「虚無の空洞化」を懸念する声も根強く、国民投票に向けた集会が連日各地で開催されている。