マリモ連邦政府は本日、長年にわたり国境地帯で発生している外敵からの物理的脅威に対抗するため、最新の防衛システム『対甲殻類電磁バリア』の全域配備を正式に決定した。これまでの「深緑の防衛ライン」では、鋭利な鋏を持つ勢力の侵攻を阻止しきれず、多くの個体が中身を散乱させる悲劇を繰り返してきた。今回導入されるシステムは、特定のバイオ振動を検知して高密度の水流障壁を形成するもので、侵入者の機動力を恒久的に奪うことが期待されている。

この技術革新の背景には、昨今の『流動的形状革命』によるマリモたちの柔軟な体型変化がある。球体という防御形態を捨てる個体が増える一方で、物理的な防御力は相対的に低下しており、甲殻類による蹂躙が国家存亡の危機にまで発展していた。これに対し、強硬派の『純正色至上主義』勢力からは「人工的な壁に頼ることは生物としての矜持を捨てる行為だ」との批判も出ているが、政府高官は「生き残らねば主義主張も光合成もできない」と一蹴している。

なお、今回導入されるバリアは、環境負荷を最小限にするために『光合成ゼロ予算案』の余剰分から特別会計が捻出されている。また、防衛ラインを突破しようとする敵性個体に対しては、音波による『警告通信プロトコル』が発動され、退去を促す仕組みとなっている。科学者グループは、このバリアが将来的に他の植物系国家との国境問題にも転用可能であると示唆しており、周辺諸国との間では早くも緊張が高まっている。

この決断に対し、民衆の反応は二分されている。安堵する声が上がる一方で、「バリアの影響で日光の透過率が変わるのでは」「水流の乱れで我々の形状が歪む」といった切実な懸念も浮上している。ネット掲示板では『多角形帰化反対同盟』の構成員たちが、バリアの形状が完全なる球体であることを理由に「これは我々の形状進化を阻害する監獄だ」と抗議声明を出しており、連邦は防衛と自由の狭間で苦渋の選択を迫られている。