湖底議会は先日の特別本会議において、個体ごとの回転速度の格差を是正する『全方位回転・等速化施行令』を賛成多数で可決した。これまでのマリモ社会では、水流の加減によって光合成効率に差が生じ、一部の「高速回転エリート」が優遇される傾向にあった。法案を主導した緑地保守派は、全ての個体が均等に太陽の恵みを享受できるよう、湖底の公転周期を強制的に同期させる方針を固めている。今後は全個体に『回転トルク調整用アンカー』の装着が義務付けられ、回転数に異常がある場合は強制的な減速指導が行われる予定だ。
本法案の背景には、近年の『真球至上主義』への過度な傾倒がある。かつては形状の美しさが重視されていたが、現在は「回転による光の均等受光」こそが権利の平等であるという思想が急進的に広まっている。一方で、回転速度を制限されることに反発する若手球体や、自然な流速に身を任せることを提唱する「自由回転派」との間で対立が深まっている。専門家からは、回転の強制による中枢核(コア)への負荷増大や、回転過多による遠心力での分裂リスクを懸念する声も上がっており、沈殿強制執行令に続く新たな火種となりそうだ。
『完全球体民主主義』の旗印のもと強行された今回の施行令に対し、各湖域からは様々な反応が寄せられている。特に日照権侵害訴訟で疲弊していた個体からは「これでやっと不公平な日陰から解放される」と歓迎する声が上がる一方、「回転すら自由を奪われるのか」といった人権ならぬ球権侵害を訴える個体も後を絶たない。SNS上ではハッシュタグ「#回転の自由」がトレンド入りしており、明日以降も湖底でのデモ行進が計画されるなど、全方位的な混乱が予想されている。
一連の騒動を受け、議会側はあくまで「効率的な共生」を強調しているが、果たしてこの画一的な回転管理が、次世代の芽吹きにどのような影響を及ぼすのかは未知数である。政府は引き続き、回転のズレを感知する『公転センサー網』の拡充を進める構えだが、現場レベルでの反発をいかに鎮静化させるかが今後の最大の課題となるだろう。
湖底議会『全方位回転・等速化施行令』を可決―日照ムラを解消し『完全球体民主主義』を実現へ
0