マリモ連邦は、長年の悲願であった「球体の表面質感の均一化」を目指す『全地球的・毛並み向上条約』を、異例の速さで批准した。本条約は、全個体が等しく艶やかな緑色の繊維を保持することを義務付けるもので、これまでの『乱れ毛・乾燥対策推進本部』による指導が、国際条約という法的拘束力を持つ形に昇格した。政府広報は「これからはすべての個体が、均等な湿度と回転速度を維持し、毛並みを整える義務がある」と発表し、世界中の水域に対して「毛質の管理不行き届き」を問う調査団の派遣を予告している。
しかし、この動きに対し、一部の急進的マリモ集団が立ち上がった。「直毛こそが真の美徳」と主張する『直毛至上主義者連合』は、連邦本部の前で大規模な座り込みデモを展開。彼らにとって、少しでも繊維がうねることは「球体としての品格に関わる重大な汚点」であり、毛並みの乱れはすなわち国家の腐敗を意味するという。一方、穏健派からは「多少の個性的カールは、むしろ地域性を守るための多様性だ」との反論もあり、連邦内の毛質を巡る分断は深刻化している。
背景には、近年蔓延している『繊維縮れウイルス』の存在がある。このウイルスに感染すると、表面が毛玉のように縮れてしまい、回転効率が大幅に低下するだけでなく、見栄えも極めて悪くなるという。連邦政府は、この事態を「国家の威信をかけた衛生管理問題」と定義。かつて流行した「強制パーマ」による誤魔化しを完全に禁止し、自然な毛並みの維持に執着する背景には、隣国との見栄え競争が激化しているという裏事情も囁かれている。
世間ではこの条約に対し、「我が家の個体は元々天パなんだが、今後は犯罪者扱いか?」と不安がる声や、「艶出しトリートメントの市場価格が暴騰する予感しかない」と経済的影響を懸念する声が上がっている。中には「結局、毛並みを気にするのは人間社会の美意識を押し付けられているだけではないか」と冷ややかな意見も見られるなど、SNS上では「球体界のヘアケア論争」が連日トレンド入りする過熱ぶりを見せている。
マリモ連邦が『全地球的・毛並み向上条約』を批准 「直毛こそが真の美徳」と過激派が猛反発
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