阿寒湖の深部にて、伝統的な球体文化に飽き飽きした過激派組織『球体芸術家同盟』が、ついに長年夢見てきた『幾何学的変形ツアー』の開催を宣言した。彼らはこれまで「絶壁化」や「立方体への憧れ」を掲げてきた急進派と手を組み、ついに完全なる正二十面体を目指す公開実験に踏み切ったのである。藻類が自らの意志で繊維を編み込み、強靭な角を形成するその姿は、かつてない芸術的衝撃を湖底に与えている。

本プロジェクトの発端は、かつて湖底を騒がせた『逆襲の毛糸玉編み上げプロジェクト』で培われた高度な編み上げ技術の応用にある。彼らは水中の栄養成分を特殊な比率で吸収し、外殻の密度を部位ごとに調整することで、重力に抗う多角形化を実現した。ただし、この急速な形態変化には莫大なエネルギー消費が伴い、一時的に『毛玉式・酸素過多の舞』を凌駕するほどの過剰な光合成が確認されている。近隣の魚類からは「角が当たって痛い」「浮力バランスがおかしい」といった苦情が殺到している模様だ。

この進化の裏には、従来の『球体主義社会』に対する若手世代の強烈なアンチテーゼがある。長年、完璧な円形こそが至高とされてきた湖底社会において、あえて鋭角な頂点を持つことは、既存の秩序への完全なる挑戦状とも言える。同盟の広報担当は、「我々はもはや転がるだけの球体ではない。角を持ち、歴史を刻む多角形なのだ」と主張。今後、彼らがこの形を維持したまま、冬の氷下でどのような変貌を遂げるのか、専門家たちの注目が集まっている。

今回の芸術的試みに対し、湖底住民からは困惑と称賛の声が入り混じっている。「芸術のためにそこまでやるのか」「これじゃ回転できなくて冬を越せないのでは」という懸念が上がる一方で、「鋭角こそ未来」「ついに球体の鎖から解放された」と歓迎する層も厚い。一部の保守派団体は、この形状変異が将来的な生態系の「幾何学的均衡」を崩すとして抗議集会を計画しているが、すでにその看板すらも多角形に改造されるなど、事態は泥沼化の様相を呈している。