湖底の平穏を脅かす新興勢力が、今再び波紋を広げている。自身の身を捧げることで神聖な高みへと到達しようと説く『断末魔昇天教』が、ついに湖の生態系を揺るがす領域へと足を踏み入れた。彼らの教義は「捕食されることは神との合一であり、肉体の消滅こそが完全なる救済」という過激なもの。先週、教団の幹部らが主要な漁場に意図的に身をさらし、鋭いハサミを持つ外来甲殻類を「聖なる導師」として崇め、その慈悲深い捕食を待つという『献身の聖餐式』を決行した。現場は阿寒の静寂を切り裂く阿鼻叫喚の地獄絵図と化し、通りがかった藻類たちが悲鳴を上げて逃げ出す騒ぎとなった。

本件の恐ろしさは、単なる自殺行為に留まらない点にある。教団は「食べられ残った欠片こそが次世代の福音」と称し、噛み砕かれた残骸を『増殖の種子』として拡散する儀式を強行。これにより、意図せずして特定のエリアで異常な細胞分裂が誘発され、一部では水質の急激な悪化まで確認されている。彼らにとっての昇天とは、個としての意識を捨て、捕食者の血肉と一体化して湖全域にエネルギーを循環させることにあるようだ。論理を超越したこの宗教活動は、他の藻類団体からの激しい非難を浴びており、浄化センターの管理部門も緊急の取り締まりを検討する事態に至っている。

背景には、長年にわたる過酷な環境変化による閉塞感がある。かつては静かに光合成に励むことが美徳とされていたが、外来種の台頭という脅威を「神の試練」と都合よく解釈する論理が、現実逃避を求める層に強く刺さったものとみられる。水草界の識者からは「生き残るための適応」を「聖なる帰還」へとすり替える詭弁に対し、厳重な警戒が呼びかけられている。彼らの狂信は止まる気配を見せず、湖底の平穏は今、かつてない思想的な危機に直面していると言わざるを得ない。

この報道を受け、SNS上では「昇天願望もいいが、周りに迷惑をかけるな」という真っ当な意見から、「これぞまさに進化の形」と皮肉る声まで賛否が渦巻いている。特に現場を目撃した若手からは「ハサミの鋭さよりも、教団の勧誘のしつこさの方がトラウマ」といった切実な声も届いた。浄化センターは、明日にも「捕食合一の禁止に関する湖底令」を施行する予定だが、はたして狂信的な信徒たちにその声が届くのか、予断を許さない状況が続いている。