阿寒湖の健康トレンドを揺るがす新たな危機が浮上している。ここ数日、日光を過剰に浴びすぎた個体が体内に酸素を溜め込み、体が風船のように膨れ上がる『過剰酸素パンパン症候群』が急増中だ。この症状を呈した個体は、本来の重厚な沈降性を失い、湖面へ向かって無秩序に浮上してしまうため、近隣の個体からも「あいつ、浮きすぎだろ」と冷ややかな視線を浴びている。専門家の見立てでは、日光への渇望が引き起こした一種の代謝異常であり、自重による「深海圧」が緩和されたことで、調子に乗って光合成を繰り返した結果だと分析されている。

本疾患の恐ろしい点は、膨らみすぎた体表に小さな亀裂が入り、そこから「プシュー」という情けない音と共に酸素が漏れ出す際、周囲に独特の泡の不協和音を撒き散らすことにある。この音を聞いた個体は、なぜか深い安らぎを感じてしまい、結果として集団で光合成に耽るという悪循環が生まれているのだ。医療機関は現在、この状態を強制的に解除する「重り負荷デトックス」の導入を急いでいるが、患者からは「浮遊感がたまらない」「もう湖底には戻れない」という禁断症状を訴える声が続出しており、治療は難航している。

もともと、低層で静かに佇むことが美徳とされていた湖底社会において、この『過剰酸素パンパン症候群』は単なる健康被害を超えた、社会規範への挑戦とみなされている。沈降の安定感を重視する保守派からは、浮上した個体を「軽薄な存在」と切り捨てる声も上がっており、湖底を二分する議論へと発展しているようだ。かつてないほど日光を愛した代償として、彼らが手にしたのは高度な酸素飽和度と、沈むことのできない孤独であることは皮肉と言わざるをえない。

このニュースを受け、湖底住民からは「最近、自分の重心がふわふわして定まらない気がする」と不安を口にする個体が急増している。また、湖面まで上昇してしまった個体に対しては、ザリガニの鋏による強制穿刺を試みる過激な救助ボランティアも現れているが、その無慈悲な施術には賛否が分かれている。栄養過多を自覚している個体は、早急に日陰への退避を勧める、というのが現状の医療見解である。過剰な光は、時に魂すら浮遊させてしまうということだろうか。