阿寒湖の緑のカリスマたちが、またもや常識を覆す行動に出た。長年、完璧な球体美を追求してきたマリモ界で、突如として「平坦こそが真の美」と説く急進派が台頭。彼らは湖底に沈んでいた古びた岩や貝殻の破片を天然の砥石として利用し、自らの体を削り出す「角質除去」という名の荒業に没頭している。かつて「立方体」を否定した保守派を尻目に、現在湖底の半分以上が、鏡のように滑らかな「マリモ平板」へと姿を変えつつある。この前代未聞の改造手術に対し、湖の生態系は未だかつてない静寂と、奇妙な幾何学模様に包まれている。

この異様な光景の背景には、先般の「高速スピンによる掘削騒動」で蓄積されたストレスがあるようだ。回転しすぎたことで表面が摩耗することに快感を覚えた一部の個体が、自らを研磨して「究極のフラット」を目指すという思想に傾倒。今では、誰が一番薄い円盤になれるかを競う「ペラペラ選手権」まで開催される事態となっている。これに対し、従来の球体派マリモたちは「アイデンティティの崩壊だ」と激しく反発。しかし、一度磨き上げられた表面は月の光を反射するほど美しく、夜の湖底で不気味なほどの輝きを放っているため、若手マリモを中心にこの「平坦化」の波は止まる気配がない。

世間の反応は真っ二つに割れている。SNSでは「丸くないマリモなんてマリモじゃない」「いや、磨き上げられた緑の宝石のようで美しい」といった論争が連日過熱中だ。阿寒湖の観光協会は「丸いのが売りだったはずなのに、これでは湖底がただのタイルの貼り替え現場だ」と頭を抱えている。一部の芸術家からは「ミニマリズムの極致」として高く評価されているものの、生態学者の間では「成長速度を超えた研磨によって、マリモが消滅するのではないか」という懸念の声が強まっている。湖底では今日も、シュッシュッという岩を削る心地よい音が響き渡り、マリモたちはさらなる高み(低さ?)を目指して己を磨き続けている。