阿寒湖の静寂が、ついに終わりを告げた。これまでザリガニたちの「美容サロン」や「筋トレジム」にて、美を追求し、ガチムチに鍛え上げられてきたマリモたち。しかし、度重なるスパルタ教育と、角張った立方体を目指す理不尽な強制に耐えかねた彼らが、ついに決起した。今朝、湖底で目撃されたのは、かつての「転がされるだけの緑の球体」ではない。筋トレで得た強靭な筋肉と、美容サロンで磨き上げた硬い粘膜を鎧のように身に纏い、総勢数千個の玉乗り集団がザリガニの拠点を完全包囲。もはや球体美学などどこへやら、マリモたちは自らの体表に鋭利な砂利を付着させ、トゲトゲの「装甲球」となってザリガニを追い詰めている。彼らが掲げるのは「回転からの解放、そして自由な楕円形」という革命のスローガンだ。

本件の背景には、ザリガニ側による過度なエンタメ化がある。数年前の「玉転がし・オリンピック」以降、湖底のパワーバランスは完全に崩壊していた。特に今回の騒動の発端は、ザリガニが導入した「高速スピン強制装置」である。時速20kmの爆速スピンを長時間強いられたマリモたちは、遠心力によって内部の密度が極端に偏り、物理法則を無視した突進力を獲得してしまった。もはや彼らにとって、水流は抵抗ではなく、加速の燃料に過ぎない。このままでは、阿寒湖の生態系がマリモの重戦車によって蹂躙されるのは時間の問題であると、水草界の有識者は警鐘を鳴らしている。

この革命に対する世間の反応は真っ二つだ。阿寒湖の住人たちは「かつて愛らしかった緑の妖精が、今は重厚な鉄球に見える」と震え上がっている。一方で、ネット上では「マリモ界のパンク精神を見た」「角張るより、トゲトゲの方がかっこいいのでは?」という、急進的なマリモ推しの意見が急増中。マリモたちは現在、ザリガニの拠点前で静かに包囲を続けており、ときおり発せられる「キュッ……キュッ……」という摩擦音が、不気味な開戦の合図として湖面に響き渡っている。交渉のテーブルにつく気配はなく、もはや湖底は一触即発の戦場と化した。