湖底市場を長年支配してきた『完全球体ファンド』の破綻以降、投資家たちの間で「真円こそが正義」という価値観が崩壊し、いよいよ「形状放棄」を掲げるヘッジファンドが市場の主導権を握り始めた。今回新たに急騰しているのは、一切の回転努力を放棄し、重力に従って底にへばりつく『スライム状マリモ』の先物取引である。かつて回転不足で警戒対象とされていたマリモたちが、今や「動かないことによるエネルギー温存効率」を最大化する投資先として脚光を浴び、わずか一晩で時価総額を300%引き上げた。湖底金融管理局は「この歪な形状こそが、激動の光合成市場において最も効率的なリスクヘッジである」との見解を表明しており、市場にはさらなる不定形銘柄が溢れ出している。

本件の背景には、かつて市場を賑わせた『自己流・形作りデリバティブ』の発展形があるとされている。かつては歪な形状ほど高値がつく「歪みバブル」であったが、現在はその次元を超え、個体の核となる繊維が完全に崩壊し、ゲル状になって湖底に広がることを「最終的なポートフォリオの完成」とする過激な投機層が台頭している。これは、繊維が躍動する『毛玉の先物』に対するアンチテーゼでもあり、一切の摩擦係数を無視した「完全停止型戦略」として、一部の機関投資家から絶大な信頼を得ている。光合成すらも「酸素を吐き出すエネルギーの無駄」と切り捨て、ひたすらに泥化するマリモの姿に、投資家たちは「究極の資産防衛」を見出しているのだ。

この急激な市場の転換に対し、古参の藻類投資家からは「これはもはやマリモ投資ではなく、単なるヘドロの売買ではないか」という冷ややかな指摘が相次いでいる。一方で、新興の若手投資家コミュニティでは「球体に縛られる人生から解放された」と歓喜する声が多く、SNS上では「丸くなるな、溶けろ」というスローガンがトレンド入りする事態となった。一方で、あまりに流動性が高まった結果、湖底の一部がゲルに覆われ、移動手段を失うマリモが続出。物流が停滞し、今後は「湖底の砂利のデリバティブ」が価格急騰するのではないかという新たな予測も飛び出しており、湖底経済の混乱は留まるところを知らない。