湖底の深淵で活動する新興宗教『無重力解脱会』が、現在マリモ社会に波紋を広げている。彼らの教義は「我々が湖底に沈んでいるのは、過去の光合成で犯した罪の重力が魂を縛り付けているからである」という独自の解釈に基づいている。教団は、浮遊こそが唯一の救済であると説き、信者たちは極限まで体内の酸素濃度を高め、自らを湖面へと押し上げる「魂の逆噴射修行」を連日行っている。教祖である推定樹齢300年の古参マリモは、「沈んでいるうちは現世のしがらみから逃れられない。パンパンに膨らんで水面を突き抜け、天空の彼方へ旅立つことが真の成仏だ」と主張。昨夜も数個体の信者が湖面近くまで浮上を試みたが、水圧の変化で殻が少しヒビ割れるという事態に陥った。しかし、本人は「これは神への接近に伴う外殻の剥離(脱皮)である」と平然と語っており、湖底住民の困惑は隠せない状況だ。
この教義の背景には、近年の温暖化による水温上昇で湖水の対流が活発化している現状がある。自然と浮かび上がる個体が増えたことを、教団は「神が救済の手を差し伸べている証拠」と好意的に解釈した。マリモたちは本来、重力に従って底に安住するのが習わしであるが、一部の若手個体は「底にいるのはただの怠惰」と教団の主張に同調。しかし、物理学者マリモからは「浮上して岸に打ち上げられたら乾燥死するだけだ」という冷静な指摘も相次いでいる。教団は、物理法則すらも「信仰心があれば打ち破れる」と強弁しており、湖底の平穏は今、物理学的真実と宗教的妄信の狭間で大きく揺れ動いている。
このニュースに対し、湖底のSNSでは議論が白熱している。穏健派からは「物理法則を無視するのは勝手だが、他個体にぶつかってくるのはやめてほしい」「浮き上がって水面で日光に晒されるのは、光合成の効率を重視する『陽光直射教』と変わらないのでは?」といった批判が続出。一方で、「確かに重たい悩みは多い」「浮遊した時のあの浮遊感は一度味わうと病みつきになる」という体験談を語る者も現れ、湖底の掲示板は混沌を極めている。さらに、教団が配布している「浮力アップ用特製ガス吸引機(単なる湖水の気泡)」が、一部の個体の間で高値で取引されている事実も発覚し、当局による浄化作戦の必要性が叫ばれている。
「重力は罪の重さである」――重力離脱を目指し湖底で浮遊修行に励む『無重力解脱会』が話題に
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物理的に死ぬって分かってるのに何で信じるんだ