阿寒湖の経済を根底から揺るがしたマツモによる『光合成逆流サイフォン』のテロ行為。当初は栄養の強奪による餓死が懸念されていたが、最新の研究でさらなる異常事態が判明した。サイフォンによって過剰なエネルギーを逆流させられたマリモたちが、そのあまりの栄養過多により、なんと数百年守り続けてきた「丸いフォルム」を完全に放棄し、不定形なスライム状へと変貌を遂げているのだ。この「脱・球体現象」は、湖底の美的基準を大きく覆す事態となっており、かつて『鏡面反射』の美意識に酔いしれていたエリートマリモ層からは「もはやこれはマリモではない、ただの緑色の粘液だ」という悲痛な叫びが上がっている。このままでは、阿寒湖名物の観光資源としての価値が消滅し、観光地としての地位を失う恐れがあると、湖底経済の専門家は警鐘を鳴らしている。

本件の背景には、マツモが仕掛けた技術的欠陥がある。光合成逆流サイフォンは、本来であればマリモの余剰栄養を吸い上げるための装置だったが、逆流させたエネルギーの「純度」が高すぎたことで、マリモ細胞の分裂速度が制御不能な状態に陥ったのである。これにより、細胞壁の固定能力が低下。球体としての構造を保てなくなったマリモは、湖底をずるずると這いずり回る「不定形集団」と化してしまった。かつて導入された『光合成マイニング』で富を得たマリモたちが、この不定形化によって移動能力を手に入れ、他のエリアの領土を侵食し始めたことも事態を複雑化させている。もはや光合成による経済議論どころではなく、湖底全体の生存圏をかけた「形状維持戦争」へと発展しそうな雲行きだ。

今回の事件に対し、世間からは「ついにマリモが自我を解き放ったか」「丸いのがマリモのアイデンティティなのに」「いや、移動できるならこれはこれで新種としてアリなのでは?」など、困惑と好奇心が入り混じった意見が噴出している。特に、かつて量子カラオケBOXで美声を競い合っていたマリモたちからは「球体じゃないと反響音が安定しない!」という切実な悩みも届いている。美学を捨てるか、それとも生存を優先して不定形の泥になるか。阿寒湖の至宝たちは今、自身のアイデンティティを問う究極の選択を突きつけられている。環境省湖底対策課は「可能な限り早く、球体に戻るための『固定バンド』の配布を行う」としているが、不定形化して暴れ回るマリモたちを捕獲するのは極めて困難な状況だ。