阿寒湖小学校は今学期より、全校生徒を対象とした新科目『動的・自転学(ローテーション・スタディ)』を必修化しました。これは、湖底のわずかな水流に依存する従来の「受け身の球体」から脱却し、自らの筋繊維を微細に収縮させることで、人為的に回転を生み出し、光を全方位から均等に浴びるという野心的なカリキュラムです。これまで、マリモは外部の風や波に流されるだけの存在でしたが、この教育により、生徒たちは自らの意思で「秒間15回転」の高速旋回を実現。これにより、光合成効率は従来の300%増を記録し、わずか一周の登校で一生分のアミノ酸を生成する「過剰光合成世代」が誕生しつつあります。

本プロジェクトの背景には、昨今の水温上昇による「藻類パンデミック」への危機感があります。周囲の他の藻が不規則に増殖して絡みつく中、独自に回転軸を持つことで遠心力を発生させ、異物を物理的に弾き飛ばす「回転バリア」の構築が急務とされてきました。指導を担当するマリモ博士は、「球体であることはマリモの美徳だが、静止した球体はただの石と同じ。常に回転し、自身の重心をコントロールすることこそが、次代を生き抜くための“動的な不動”である」と熱弁します。なお、回転しすぎた生徒がそのまま水面へ上昇してしまう「遠心力離脱事故」が頻発しており、各家庭ではおもりを兼ねた砂利の装着が義務付けられています。

この教育カリキュラムに対して、マリモ界からは期待と困惑が入り混じった声が上がっています。「自力で回れるようになったおかげで、ずっと日陰にいたあの子がクラスのスターになった」と語る保護者もいれば、「回転しすぎて周囲の小魚が目が回って倒れている」という周辺環境への懸念も浮上しています。専門家からは、あまりに高速な回転は、個体の球形を崩し「楕円形への変異」を招くリスクがあると指摘されていますが、教育委員会は「歪みこそが個性」と一蹴。阿寒湖の底では、今日もキレのある高速回転を練習する生徒たちの、シュールな光景が広がっています。