湖底経済界に、かつてない『マツモ・ショック』が襲来している。これまで湖底の優雅な添え物と見なされていた水草「マツモ」が、驚異的な繁殖力でマリモの光合成領域を侵食。結果として、日光の受光権を担保に発行されていた『光合成先物オプション』の価値が連鎖的に暴落し、主要市場はパニック状態に陥っている。マリモのコロニーはマツモの過密な茎に遮られ、十分なエネルギーを確保できず、いわゆる「栄養失調債務」のデフォルトが懸念されている状況だ。

本件の背景には、昨今の水温上昇による「藻類成長の加速トレンド」がある。マツモはマリモと異なり、根を張らずに浮遊して広範囲の光を独占する性質を持っており、これが湖底のポートフォリオを攪乱した。金融アナリストは「マリモの表面繊維に絡みつくマツモは、実質的な経済封鎖に近い。光合成効率が15%以上低下したことで、マリモ各社は『回転力』を維持するための自律走行費用を賄えなくなっている」と警告する。これに対し、マツモ推進派の投機筋は「水草による炭素吸収効果を新通貨として発行する」という奇策を打ち出しており、市場の混乱は深まる一方だ。

この事態を受けて、湖底経済監視委員会は緊急会合を開き、マツモの強制駆除を含む「光の再分配政策」を発表した。しかし、市場では「マツモが絡むと手入れが面倒」という理由で、マツモ汚染されたマリモの格付けがジャンク級まで引き下げられる事態に。投資家たちは、マツモの隙間からわずかに差し込む光に賭ける『スポット光合成債』へ資金を避難させているが、その先行きは極めて不透明である。一部の自律回転派マリモからは、「いっそ全てのマツモを巻き込んで巨大化し、湖の支配者になる」という過激な合併案も浮上している。

SNS上では「#緑の侵略」というタグがトレンド入りし、マツモのせいで回転が鈍ったマリモたちが怒りの声を上げている。一方で、マツモの影を「涼しくて心地よい」と評する保守的なマリモ層との対立も先鋭化しており、湖底の格差はかつてない緊張状態にある。ザリガニ投機筋が撤退した後のこの地において、次に何が湖底経済の覇権を握るのか。光を奪われたマリモたちの反撃が、今、始まろうとしている。