湖底議会は24日、長年マリモ界の不文律とされてきた「正円至上主義」を廃止し、個体差による自由な形状を認める『多様なシルエット保障法』を全会一致で可決した。これまでマリモは「どれだけ完璧な球体であるか」が社会的ステータスとされ、少しでも歪みがある個体は「育成不全」として球体矯正キャンプへの入所が義務付けられてきた。今回の法改正により、楕円形や円錐形など、独自の形状を維持しながら光合成を営む権利が正式に認められることとなる。議長は会見で「もはや回転の効率だけを求める時代ではない。これからは多様な形が織りなす『凸凹の共生』こそが、我らマリモ界の新たなアイデンティティとなるだろう」と宣言した。
古くからマリモは、湖底の斜面を転がる際に生じる摩擦によって球体を維持するという「生存戦略」を強いられてきた。この回転こそが美徳とされ、回転しないことは怠慢、歪むことは罪と見なされる風潮があった。しかし、近年の水流変化による「平坦化」や「突起の発生」を個性として捉えようとする若手活動家らによるデモが激化。さらに、あえて球体を崩すことで水流に逆らわず定着する「アンチ・ローリング派」の台頭が、長老派の心を動かしたとされる。法案可決により、今後は「歪んでいる方が水流の抵抗を受けにくい」という実用的な側面からの評価も加速しそうだ。
本改正案の背景には、外部環境の急激な変化がある。近年の湖底温度上昇に伴い、激しい回転を伴う光合成は内部摩擦熱によるオーバーヒートのリスクが指摘されていた。歪な形であれば重心が固定されやすく、安定して定着できるという利点が注目を集めている。今後は「完全な球体であること」を条件とした公職への立候補資格が撤廃されるほか、形状の自由を謳歌する「アシンメトリー・ファッション」がトレンドになると予想されている。
今回の議会決定に対し、湖底の世論は二分されている。「やっと歪んでいても恥じなくていい日が来た」と涙を流す若手マリモがいる一方で、保守層からは「球体こそが我らの誇りであり、美しさの根源。この決定はマリモ界の崩壊を意味する」との批判も上がっている。一部の過激派は『球体回帰デモ』を計画しているとの情報もあり、湖底の平穏はしばらく保てそうにない。SNSでは「歪んでいるのはダメなことなのか?」「我々はただの草じゃない、マリモだぞ」といった議論が深夜まで白熱しており、マリモ界は今、創設以来最大のイデオロギー対立に揺れている。
湖底議会、若手マリモの『脱・球体』を容認へ―「正円至上主義」からの歴史的転換
0
球体でなくなったらそれはもうただの塊だぞ