阿寒湖小学校は今月、体育の必修科目として『高速回転ドリル奏法』を導入すると発表した。従来、マリモたちの運動といえば「ゆったりと湖底を転がる」という優雅なスタイルが定石であったが、同校は「地球温暖化による水温上昇で、のんびりしている暇はない」と断言。時速40kmに達する猛烈な自転を習得させることで、湖底を掘削し、冷たい湧水ポイントへ瞬時に避難するサバイバル能力の育成を目指す。初日の授業では、新入生の約半数が遠心力で湖畔の土産物屋のショーケースまで飛んでいくというハプニングが発生したが、担当教諭は「最高の放物線を描けた」と、その弾道飛行に高い評価を与えている。

本プログラムは、マリモの繊維構造を極限まで硬化させる『物理的鋼鉄化訓練』とセットで行われる。生徒たちはまず、高速で回転する水流の中でバランスを保つ訓練から始め、最終的には自身の身体をドリル化して岩盤を貫通させることを目標とする。これまで「丸くて可愛い」とされてきたマリモのアイデンティティを根本から覆すこの方針に対し、教育委員会は「効率的な生存戦略」として全面的にバックアップする姿勢を見せている。学年末には、湖底に巨大な迷宮を掘り当てる『地中大脱走競技会』の開催も予定されており、保護者からは「うちの子が掘ったトンネルが温泉につながればいいのに」といった過剰な期待も寄せられている状況だ。

背景にあるのは、近年問題化している『藻類界の過激な生存競争』である。周辺の水草がマリモの生息域を侵食する中、ただ丸まって光合成を待つだけの生活スタイルは「絶滅へのカウントダウン」と見なされていた。本教育プログラムは、マリモが自ら移動経路を確保し、天敵が近づく前に地中深くに潜り込むための『究極の防御兼攻撃術』として考案された。マリモ学会からは「回転数が上がりすぎると本体が飛散する恐れがある」との指摘も出ているが、阿寒湖小は「飛散もまた一歩の移動である」と、独特の哲学で異論を封じ込めている。

この急進的なカリキュラム発表に対し、SNS上では賛否が渦巻いている。「もはや植物というより兵器だ」「遠心力で藻がちぎれていく様子は圧巻」といった称賛の声がある一方、伝統的な『静寂を愛するマリモ保存会』からは「我々の尊厳である『静止』が奪われるのは耐え難い」との苦言も呈された。また、卒業生からは「学生時代にこの授業があれば、もっと早く湖の対岸へ行けたのに」と悔しがる声も聞かれる。マリモたちの教育は、いまや物理学の領域を突き抜け、どこへ向かって転がろうとしているのか。阿寒湖の静寂は、轟音とともに終わりを告げようとしている。