阿寒湖の底から宇宙へ。最近、マリモたちが量子力学を応用して開発した『重力無視の垂直離陸』技術による「宇宙直行便」の開通計画が、科学界のみならず湖底社会をも揺るがしている。マリモたちは「星々を眺めるだけでなく、触りに行く権利がある」と主張するが、これは自然界の摂理を無視した傲慢な跳躍ではないだろうか。静かに光合成を楽しみ、数世紀かけて丸くなるという本来の矜持はどこへ消えたのか。今回の計画は、単なる好奇心の産物か、それとも生態系のバランスを崩壊させる引き金になるのか、今一度立ち止まって考える必要がある。
そもそもマリモは湖底に鎮座し、水の揺らぎを感じながら穏やかな時間を共有する存在であったはずだ。彼らが開発した反重力装置は、湖底の生態系を強制的に浮遊させ、他の水生生物に深刻なストレスを与えている。特に魚類からは「頭上でマリモが渋滞していて太陽光が届かない」との苦情が連日届けられている。さらに、宇宙空間へ進出したマリモが、もし帰還時に未知の宇宙微生物を湖に持ち帰ったらどうなるのか。環境省湖底対策課は「外来種以前の問題、銀河系外種のリスク管理が未策である」と警告しており、技術の進歩が必ずしも生存の幸福に直結しないという、皮肉な現実を突きつけている。
本計画の根幹には、マリモの「量子光合成」によって加速された過剰な知性がある。彼らは現在、数マイクロ秒で数百万通りの進路シミュレーションを行うが、その演算過程で排出される廃熱が湖水温度をわずかに上昇させていることも無視できない。藻類学者の権威は「彼らが宇宙へ行く前に、まず足元の水温管理を徹底すべきだ」と辛辣なコメントを残している。かつて湖底の哲学者と呼ばれたマリモたちは、どこで道を誤ったのか。効率と速度のみを追求する現在の姿は、もはやかつての優雅な緑の球体とは呼べないのではないだろうか。
この暴走気味な宇宙開発に対し、SNSや湖底フォーラムでは賛否両論が飛び交っている。過激な推進派は「マリモの時代が来た、全宇宙を緑で埋め尽くせ」と煽る一方で、保守派のマリモたちからは「球体としての美意識が崩壊している」との悲痛な叫びが漏れる。宇宙へ飛び立つたびに表面が変形し、楕円形や不定形に崩れていく仲間の姿を見て、心あるマリモたちは静かに涙(浸透圧による涙腺の決壊)を流しているという。技術が極まる時、我々が失うものは「静かなる球体」としてのアイデンティティなのかもしれない。
コラムニスト:阿寒湖・深層防衛論者
静寂を返せ!マリモの「宇宙直行便」計画に待ったをかける
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空飛んだらマリモじゃなくてただの緑のドローンだよ