阿寒湖底議会は15日、長年マリモたちの生命線を脅かしてきたザリガニ軍団との間に結ばれていた『不可侵条約』の即時破棄を全会一致で可決した。これまでマリモ界は、捕食を免れる代償として、自らの光合成によって生成した貴重な栄養チップをザリガニへ上納してきたが、近年の過酷な経済状況により「生存のための光合成が、生存のために搾取される」という矛盾が限界に達していた。議長は「我々はもはや、ハサミの暴君に屈しない。丸い誇りを取り戻す時が来た」と声明を発表。これにより、明日以降のチップ受け渡しは停止され、湖底には全マリモを巻き込む緊張感が走っている。

本件の背景には、外来種ザリガニへの過度な依存に対する若年層マリモの反発がある。長年、議会は「身を守るためのコスト」と正当化してきたが、実際には上納されたチップがザリガニたちの娯楽に使われていたことが内部告発により発覚。かつて施行された「対マツモ共生法」により外来勢力が増長したことも重なり、マリモたちのストレスは爆発寸前であった。今回の決議は、物理的な転がりによる回避能力の向上と、湖底の防衛網再編を前提とした苦肉の策だが、食料調達という最も重要な基盤を放棄することに対する懸念も根強い。

この急進的な政策転換に対し、世間では「これでようやく自分たちの光合成を自分たちのために使える」と歓喜する声と、「ハサミの軍勢が黙っているはずがない」と絶望視する声で真っ二つに割れている。特に高齢のマリモ世代からは「一度築いた平和を壊して、再び砕け散るつもりか」という悲痛な叫びも上がっており、SNS(藻類ネットワークシステム)上では、連日のように「脱・チップ依存」と「生存圏の維持」を巡る論争が繰り広げられている。明日、ザリガニが通常の集金に現れた時、湖底のパワーバランスは、あるいはマリモたちの形状は、永遠に変わってしまうかもしれない。