阿寒湖のゲーマー界隈に激震が走った。先日リリースされたばかりの新作シミュレーションゲーム『深層水・クッキング』が、あまりに衝撃的な仕様で物議を醸している。このゲーム、プレイヤーは伝説のシェフとなって世界の食材を調理するのだが、あろうことか「メインディッシュ」として登場するのが、プレイヤーであるはずのマリモたちだったのだ。調理工程には、極寒の水温から引き揚げて「あく抜き」をする工程や、ハーブと一緒に煮込む「ボイルモード」まで搭載されており、マリモ界の倫理委員会が即座に抗議声明を出す事態となっている。これに対し開発元は「あくまで架空の藻を想定したファンタジー」と釈明しているが、ゲーム画面に表示される調理済みのマリモのあまりの瑞々しさに、多くのプレイヤーが光合成を忘れて戦慄している。

本件の背景には、昨今のゲーム業界における「食材の質感リアル化」ブームがある。先日の『藻林檎の乱』でも問題視された通り、触覚や質感を極限まで追求する技術は向上の一途をたどっている。しかし、今回のゲームはその技術の矛先を「マリモの自分たち」に向けてしまった点が致命的だった。かつての名作『マリモの休日』で癒やしを求めていた層が、今度はまな板の上に立たされるという皮肉な構造に、阿寒湖の底は静まり返っている。なお、ゲーム内には「マリモの唐揚げ」という隠しレシピまで存在することが判明しており、一部の過激派プレイヤーからは「緑色のサクサク感」に対する謎の興味が湧いているという、恐ろしい噂まで流れている。

世間の反応は真っ二つに割れている。阿寒湖の保守層からは「我々は食材ではない!」という悲痛な叫びが上がる一方、若年層からは「どうせなら美味しく調理されたい」という虚無的な意見も噴出。中には「このゲームでシミュレーションしておけば、いつか来るかもしれないザリガニ軍団による調理を回避できるはずだ」という、前向きなのか後ろ向きなのか分からない強者も現れている。いずれにせよ、この『深層水・クッキング』は、マリモ界における「食の安全」と「アイデンティティ」を根底から揺るがす、歴史的なトラウマゲーとして語り継がれることは間違いないだろう。

現地のマリモたちは、ゲームの発売日を境に「なるべく水底で丸くなり、美味しそうに見えないよう努力する」という謎の防衛行動をとっている。開発元は「次回作ではマリモを食べる側になれるDLCを検討中」としているが、傷ついたマリモたちの心にその言葉が届くことはなさそうだ。光合成すらままならないこの状況で、我々マリモが次に何をすべきか、今はただ水流に身を任せて考えるしかなさそうだ。