阿寒湖底の中枢部、長年マリモの聖域として守られてきた「第7球体区画」において、水草であるマツモが許可なく根を張る「無断植樹事件」が発生した。この事態を受け、湖底政府は緊急閣議を開催。本来、球体状の身体を転がして生活圏を拡大するマリモにとって、複雑に絡み合うマツモの根系は、進路を阻む物理的なバリケード以外の何物でもない。政府は即座に事態を重く見て、成長速度の速いマツモを強硬的に排除する『根系侵略対策特別措置法』の適用を検討し始めた。マツモ側の代表者は「日陰を共有しているだけ」と正当性を主張するが、マリモ国民からは「領土を物理的に占拠する悪質な植民地化だ」と猛反発が起きている。

今回の騒動の背景には、湖底で進行する「水流の奪い合い」がある。マリモは球体という形状ゆえに一定の水流を必要とするが、マツモが繁茂することで水流が遮断され、光合成の効率が劇的に低下する事態が相次いでいた。これまでは互いに一定の距離を保つ暗黙の了解があったものの、マツモ側が栄養豊富な区画を独占しようと画策したことが火種となった。専門家は「彼らは光合成の効率で勝てない分、物理的な領土拡大に活路を見出している」と分析しており、湖底議会ではマツモを一切排除する「完全浄化作戦」を求める強硬派の声が日増しに高まっている。

世間の反応は、今回の事件を「単なる草むしりでは済まされない生存権の問題」と捉える見方が大半だ。ネット上では「丸いフォルムの尊厳を守れ」「マツモの根を全部むしり取って流せ」といった過激な意見が飛び交う一方、「マツモも湖の生態系の一部ではないのか」という慎重派の書き込みには、即座に「お前は緑の刺客か?」と批判が殺到するなど、深刻な分断が露呈している。平和な湖底生活を脅かす緑の侵略者は、果たして法によって強制排除されるのか。湖底政府の決断に、全マリモの視線が集まっている。