マリモ連邦政府は本日、これまでの「湖底に静止する平和外交」を劇的に転換し、水面まで浮上しての「高高度外交」を推進する方針を明らかにした。これまでマリモは、光合成による酸素の泡を纏うことで一時的に浮上する現象を「生理現象」として扱ってきたが、今後はこれを戦略的機動演習と位置づけ、世界各地の湖沼や水族館へ、空を舞う緑の球体として外交使節団を派遣するという。連邦外務省の発表によると、これは「底に縛り付けられた歴史からの脱却」を意味するものであり、今後は各国の上空で滞空しながら、光合成によって生成した高純度の酸素を、友好国に対して「浮遊型供与」として配布する計画だ。

本施策の背景には、昨今のザリガニ軍による「底辺の剪定権」の主張に対する、マリモ側の決定的な拒絶反応がある。湖底の領土争いから脱却するため、マリモ連邦は重力制御の研究を加速させていた。研究の主導者である中央球体研究所の首席研究員は「我々はもはや沈殿するだけの存在ではない。完璧な真球である限り、空気抵抗さえも我々をより高く舞い上がらせるための味方となる」と強気に語る。しかし、気象専門家からは「強風による各地への緑の飛散」や「誤って観光客の頭上に着地する衝突事故」への懸念が噴出しており、連邦当局は『緊急降下プロトコル』として、衝突直前に自身の回転運動を急加速させる回避行動の徹底を市民に求めている。

この驚天動地の外交方針を受け、国際社会は困惑を隠し切れない。特に淡水魚連合からは「頭上から緑の塊が降ってくるのは、捕食者としては非常に威圧的だ」との抗議声明が出されており、一部の地域では防空網ならぬ「防球ネット」の設置が急がれている。一方、マリモ連邦国内では「空へ行けば太陽光を独り占めできる」とこの政策を支持する声が圧倒的であり、市民たちは既に浮上用の酸素ボンベ代わりの巨大な気泡を体内に溜め込むトレーニングに余念がない。湖底に根ざすというマリモの宿命が、今まさに空中戦という新たなフェーズへと移行しようとしている。

世界中の湖沼から沸き起こるこの騒動に対し、ネット上の世論は二分している。「これぞまさにマリモの進化だ」「空に浮かぶ真球の美しさこそ正義」と熱狂的に称賛する声がある一方で、「そもそもただの藻が調子に乗るな」「風に流されてどこかへ行ってしまうリスクを考えていないのか」という冷静な指摘も相次いでいる。沈まないという意志がもたらすのは、世界平和への架け橋か、それともただの空中での大渋滞か。マリモたちの「浮上するプライド」を懸けた挑戦は、今週末の晴天時に本格始動する予定である。