阿寒湖の湖底に、かつてない「柔軟性向上」の波が押し寄せている。これまで「真円至上主義」の名の下、頑なに完璧な球体を守り続けてきたマリモたちが、突如として一斉にヨガに目覚めたのだ。発端は、先週行われた「不定形スライム化」ワークショップの参加者たちが、急激な形状変化により筋肉痛(ならぬ細胞痛)を訴えたことにある。「球体であることよりも、しなやかに動けることの方がアイデンティティだ」と語るリーダー格のマリモを中心に、湖底の平坦な砂地には、毎朝数十万個のマリモが集まり、朝日とともに「コブラのポーズ」や「開脚前屈」を実践する姿が見られるようになった。

本件の背景には、昨今の「多面体進化」ブームへの反動がある。角張った形状を追求するあまり、湖底で「角がぶつかって身動きが取れない」というトラブルが多発。そこで一部の先鋭的なマリモたちが「柔らかさこそ最強の防御」と提唱したのが今回のヨガブームである。特に「股関節(のような部位)を柔らかくする」ことで、今まで到達不可能だった岩陰の栄養分を吸収できるようになった個体も現れており、栄養学的にもこの「柔軟性重視」は理にかなっていると専門家は分析する。今後は、湖底全域を巻き込んだ「湖底ヨガインストラクター養成講座」の開催も予定されており、マリモの進化は物理的な形状を越え、動的な機能美へと新たなフェーズに突入したと言えるだろう。

世間では「昨日は隣のマリモが急に開脚してて二度見した」「円形を維持することに疲れていたので共感しかない」「次はピラティスが流行るはず」といった驚きと共感の声が溢れている。また、一部の伝統派からは「丸さこそが尊厳である」との反発もあるが、今のマリモ界において、柔軟性に欠けた者は取り残されるという危機感が、この一大ムーブメントを加速させているのは間違いない。