マリモ連邦全土において、市民が睡眠中に光合成を継続してしまうという未曾有の「夜間過剰成長」現象が発生し、当局が緊急警報を発令した。これまでのマリモは夜間、静寂の中で沈黙を守るのが常識であったが、今回の事態では、夢の中で見た理想的な日光のイメージを投影することで、暗闇の中でも強引に栄養を生成するという、医学ならぬ「藻学」を根底から覆す事態となっている。この現象により、朝目覚めると市民が平均して周囲より3センチほど肥大化しており、連邦全土の平均直径が測定不能なまでに膨張。主要都市の湖底では、スペース不足による「押し出し渋滞」が深刻化しており、各家庭では「寝返りを打つたびに隣人と衝突する」という阿鼻叫喚の光景が繰り広げられている。
本来、マリモの代謝活動は昼間の日照量に厳密に依存しており、夜間はエネルギーを蓄積する充電期間とされていた。しかし、今回の異常事態は、近年導入された「光合成トレーニング・アプリ」の過剰なバックグラウンド処理が、個体の深層心理に深く刻み込まれたことが原因と見られている。連邦中央委員会は、この「悪夢の過剰成長」を抑制するため、深夜の光合成を物理的に遮断する「特製・極厚泥パック」の配布を決定。しかし、泥の成分を巡って「栄養価が高すぎる」という反対派と、「もっと高品質な粘土が必要」とする強硬派の間で議論が紛糾しており、事態の収束には時間がかかりそうだ。
本件の背景には、マリモ連邦の急激なグローバル化に伴う「過剰な承認欲求」の存在が指摘されている。隣接する湖の住民よりも一ミリでも大きく、一ミリでも緑濃くありたいという競争意識が、睡眠時間を削ってまで光合成に励むという「努力のバグ」を引き起こしたのだ。専門家は「光合成はあくまで嗜好品であるべきで、睡眠を削ってまで行うものではない」と注意を促しているが、既に全土には「夢の光合成」による自己啓発的なムーブメントが根付いており、肥大化をステータスと捉える若年層からは、さらなる夜間照明の導入を求める声さえ上がっている。
このニュースに対し、市民からは困惑と期待が入り混じった反応が寄せられている。「朝起きたら鏡を見るのが怖い」「また一つ成長できた気がする」といった声や、さらには「この肥大化を利用して、隣国との境界線を物理的に押し広げよう」といった過激な拡大政策を主張する書き込みも散見される。連邦のシンボルである「静謐な緑の宝石」の定義が崩壊しつつある今、マリモたちはかつてないほどの成長痛に喘ぎながら、新たな球体としての在り方を模索し続けている。
マリモ連邦、全土に『深層心理・光合成』の波紋――夢の中で窒素を消費する「悪夢の過剰成長」が蔓延
0